第13話
「ちょっと君」
学校を出ようと校門をくぐったところで聞き覚えの無い声に呼び止められた。
見るとジャケット姿の長身のハンサムが立っていた。
カメラを小脇に携えている。
「君はこの学校の生徒のようだね。私は今この街について調べてる、ジャーナリストの機洞 連_きどう れん_。君にちょっと伺いたいことがあるんだけどいいかな?」
「俺何も知りませんよ」眉に皺寄せ怪訝な表情を一生懸命作り威嚇した。
「この街の議員、この街を代表する企業社長、警察署長、そして市長が相次いで殺されたの知ってる?」
「知りませんよ」
「そうだろうね。確かにオフィシャルなニュースではほとんど流れていない。だが街では噂になっているんじゃないか?人の口を完全には塞げない」
「……少なくとも俺は何も知らないっす」
彫刻のように端正な高い鼻筋を指で覆って彼は何事かをシンキングしている。
その表情からは何を思考しているか掴めない。
通り過ぎようとした俺に彼は一言背後から気になる一言を告げた。
「あなたから良くない香りがするんですよ……そう、鬼の香りがね……。…これは私の直感だが、いずれ君は事件にどうしようもなく引き込まれていきますよ……」
振り向くと、彼は既にそこにはいなかった。
謎めいたやけに気になる男だ。
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