第11話

その頃………



コンコン



「市長、秘書の髙梨です。失礼します」


女の秘書がカールした色素の薄い髪の毛を揺らしながら扉を開けた。


「ひっ   ヒイイイいいぃぃ~ッ」



本来、秘書の上司が座るべき椅子、そこには見るも無惨な腐乱死体が座っていた。



「どおしてっ!さっきまで!元気で!!部屋に向かわれたのにッッ!」

秘書は頭をかきむしりながら取り乱している。

「呪われているんだわっ!本当にこの町は!!呪われているんだわ~ッッッッ!」





狂乱した女の声が、清市市庁舎に響いた。







「知ってるか。助役の髙梨君が第一発見者だったらしいぞ」

電話機の向こう側に話しかける、恰幅に威厳ある男。


「ああ……鑑識の結果、確かに清町市市長、美山元弘だった。鳥出議員、兵藤社長、渡久川署長、美山市長……」


受話器に顔を近付けて男は言う。


「次に狙われるのはお前だろうか、それとも俺かな………」



その声は怯えているようにも、笑っているようにも聞こえた。


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