第二話

 今日は授業がないので、学校に用もなくいすわっていたらむーに声をかけられた。


 プリント運ぶの先生に頼まれたんだけど、多すぎて運びきれないから手伝ってくれ、とのことらしい。


 断る理由もないので、承諾する。


 視聴覚室の荷物らしい。視聴覚室に入ると、二人の先生が汗だくで荷物を運んでいた。



「なんだ佐藤来たのか、なら早くこっちにきて手伝え」



 相変わらず、俺に対してだけ冷たいのは工藤先生だ。


 俺のことが嫌いなのかなんなのか知らないが、いつも俺に対してだけ厳しい。俺は苦手だ。



「佐藤君ありがとねー。じゃあそれやっといてくれないかな?」



 こっちは、斎藤先生。


 皆に対して平等に優しくしているので、生徒からの評判がとてもいい。俺も割とこの先生は気に入っている。



「みー先ついてたんだ!意外とやる気あるんじゃんー」



 …別にやる気があったわけではない。


 呼ばれたから来ただけなのだ。そもそも、もっと遅くていいなら言ってくれればよかったのに……。



「佐藤!突っ立ってるならそこの棚やっとけ!」


 (嫌です)


「佐藤君そこの棚のもってきといてくれなーい?」



    ちょっとむー!早くきてー運ぶよー!と呼びかける。言い方は大切であるなと切に感じた。


 ん!?めっちゃ重い…


 何でむーは、そんなに楽そうに持ってるんだ。


 最後の始末をむーに頼んで、やっと仕事が終わったから休もうと思い、もう一度最後に視聴覚室に行くと、先生たちがねぎらってくれた。



「ん、おつかれ。ありがと」


「おつかれさまぁ!手伝ってくれてありがとね!今度から忙しいときは佐藤君に頼んじゃおうかなぁー」


「ちょっとそれは勘弁してください……」


「ふふ、大丈夫よ。冗談だから」



 相変わらず工藤先生は冷たいけど……いつか優しくしてくれる日が来たらうれしいな、と思っている。



「みーおつかれー! まさか本当にやってくれるとは思わなかったよ」



  頼んでいた仕事をおわらせたむーが、戻ってきたようだ。


 やってくれると思ってないなら、あんなつらい仕事はじめから頼まないでもらいたい…


 でも、むーも頑張ってきたんだと思い、お疲れ様とねぎらっておいた。



「手伝ってくれたお礼にカフェでも行く?奢るよ?」



 なんかデジャヴ…と思いつつ断る理由もないので、快諾した。


 俺は、前回聞きたいことがあって奢ったのだが、むーもそうだったりするのだろうか。


 聞かれるとしたらなんだ、むーに対してそんな変なことはしていないはずだから、もしやカンニングしているのを察せられたか?



 やばい。だとしたらどうする。


 ばれてはいないはずだから、白を切りとおすか?結局いい考えが浮かばないままカフェについてしまった……



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