第4話 入学式
4月8日、午前6時。
目覚まし時計より早く起きたのなんていつ以来だろう。
洗面台の鏡で顔を見ると、心なしかいつもより目が開いている気がする。自覚できるくらいには口角も上がっている。
今日は、浦浜第一高校の入学式。そして僕は新入生代表に選ばれたのだ。
ついに不知火灯を上回ることができたことを改めて噛みしめ、頰の緩みを止められない。
素晴らしい高校生活になりそうだ。
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孝介と合流し、昇降口へ向かう。
母親どうしはすっかり話し込んでしまっているので放置しておいて、クラスの確認をするのだ。
この学校では、ひと学年180人が成績順に6クラスに分かれる。先日の件から僕が最上位の6組にいることはわかっているし、孝介も当然同じクラスだろうが、せっかくなので目を通しておきたかった。
上から見ていって最初に目についたのは馴染みの名前、不知火灯。むしろいないほうが不自然である。自分の名前を確認し、孝介の名前を探しているとふと目に飛び込んでくる名前があった。
同じ中学の出身者ではないと思うが、なんとなく聞き覚えがある気がする。どちらにせよこの後クラスで会うことになるのだから保留しておいていいだろう。
「予想通りというか、全員同じクラスだな」
「そりゃそうだろう。県内ワンツース…
「孝介ー!」
孝介への返答を遮る勢いで、1人の少女がこちらに突進してくる。
「おっとっと、どうどう」
慣れた手つきでなだめる孝介。
「よっ、孝介!それと、誠実くんだよね?」
「あ、どうも。辻村誠実です。あなたは?」
「私は河町中出身、藤宮咲良。そこにいる孝介の従姉妹です」
驚くほど早い伏線回収だった。
しかし、これで聞き覚えがあったのには納得がいった。
ちら、と孝介に視線を向ける。
「全員っていうのは4人か」
「そういうこと」
「誠実くんのことは孝介からよく聞いてたから会ってみたかったんだ!よろしくね」
「ああ、こちらこそ」
ひとまず3人で僕らの教室、1年6組に向かうのだった。
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