side 孝介 親友と赤駒山
誠実と出会ったのは小学校の入学式だった。
直前に引っ越して来て知り合いもおらず緊張しっぱなしだった俺に、話しかけて来たのだ。
帰る頃にはすっかり意気投合していて、一緒に記念撮影もした。というのは後で母から聞いた話だが。
小2の夏、親父の提案でこの赤駒山に来てから、俺たちは走るのが楽しくて仕方なくなった。
暗くなるまで帰らず、怒られたことも一度や二度ではない。それでも2人で走るのが楽しかった。
中学生になったら2人で陸上部に入って、長距離を一緒に走った。誠実は初めての定期テストで校内1位になったのが嬉しかったのか、すごく勉強するようになった。俺はその頃からアニメにハマって忙しくしていたから勉強はそこそこだったが、一応次点はキープできた。
中2の半ばだったか、県内学力模試で1位にいるのがずっと同一人物だと気づいたときのあいつの顔はなんというなすごかった。
笑いすぎて怒られたけど。
誠実の頑張りは知っていたから、正直、本番と同形式である最後の模試まで勝てなかったのは驚いた。俺も興味を抱かずにはいられなかった。本番はどうなったんだろうか。
そして今日、その不知火灯が現れた。
2次元でも通用する美少女っぷりには俺も驚いたが、それ以上に今隣を走っている親友の複雑な表情である。
意識して来た相手だし、ラノベ的展開なら一目惚れでもおかしくないんだがこいつときたら困惑しているようだ。からかいは普通に突っぱねられた。
学力順でクラス分けされる浦浜第一なら、不知火灯も入れて3人同じクラスになるだろう。
不知火と同じ河町中からは“ヤツ”も合格したようだし、どんな高校生活になるか、早くも楽しみだ。
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