6.急変
授業終了のチャイムが鳴った。今日は学年集会があって、俺たちはすごい後ろの方から話を聞いていた。
手術の日まであと一週間くらい。手術すれば、普通の生活に戻れるんだ……それまで、頑張ろう。
俺たちは普通の人たちが出ていくのを待つ。ずっと立ってるのも疲れるから早く出てくんないかな……
バタッ
何かが床に落ちる音がした。横を見てみると、妃奈が倒れていた。まだ出てなかった同じクラスの人も注目していた。
「妃奈……妃奈……!」
「桃川くん、離れて」
先生の制止も無視して呼びかける。
「妃奈! 一緒に頑張ろうって言ったじゃん! もうすぐさ、普通の生活に戻れんだよ! 妃奈!」
俺は先生に集会所の外に出されてしまった。
妃奈……死なないで……妃奈……
妃奈は、みんなが思ってるより強くない。弱いんだ……
◇◇◇
妃奈のお見舞いに行ったときのこと。
病室に入ろうとすると病室の中から声が聞こえた。
俺はその声に耳を澄ましてみる。
妃奈は泣いていた。そして病状が悪化していたみたいだった。
俺は今日は帰ることにした。
◇◇◇
そんなことがあった。
そのあと、妃奈は救急車で運ばれていった。先生の誰かが一緒に乗っていったらしい。
俺はどの病院に搬送されたかを聞き出した。もちろんいつもの病院だった。
もう帰っていい時間だったので俺はすぐにいつもの病院に向かった。
普段じゃ絶対走らないけど今回は走った。そんなに速くはないけど、歩きよりは速いはず。
病院についたころにはもう息が上がっていた。そんなに距離はないはずなのに。やっぱ人って急に動くとダメなんだな……それに夏の暑い空気で息が苦しい……早く中に……
俺は救急科がある棟に向かう。処置室前の椅子に担任の先生がいた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「桃川くん!?」
「はぁ……はぁ……ひ、妃奈は……?」
「なんとか一命は取り留めたって……」
「そっか……はぁ……はぁ……よかった……はぁ……はぁ……」
息が苦しい。意識がもうろうとしてくる。視界がグラグラする。俺……やばいかも……
俺はそのまま倒れた。
「桃川くん!? 桃川くん! 誰か!」
「開飛くん! 処置室準備して!」
担任の先生と山田先生の声だ。
山田先生……俺……どう……なっちゃうの……?
◇◇◇
「7月20日、16時32分。死亡確認」
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