第3話 私の苦しみ
そんな私の様子を満足げに見下ろしながら、黒ずくめの少女は微笑を浮かべていた。
「でも、あんたのラッキーゾーンは小学校卒業と共に終了。
中学校から、試練が始まる。まず中1であんたは仲良くしていたグループから突然、ハブられる。ケンカをしたわけでもない。お得意の人見知りを発揮して中々喋れなかったからかもね。あんたは気の合う子とはペラペラお喋り出来たけど、誰とでも話せる性格じゃない。
幸い、他にもハブられた子とくっついて、一人にはならずに済んだけど、中2で地獄を味わう。」
私は何故かもうデタラメな話だとは思えなくなっていた。何も記憶はないのに、他人事のように聞こえなかった。何か本能のようなものがこれは私のことだと告げている感覚がした。
「3人の親友が出来るんだよね・・?
その子達とは、どうなるの?」
思わず、質問を挟んでいた。
「3人の親友ねぇ・・。」
黒ずくめの少女は、ノートを捲り、答えた。
「1人は別の中学校。あとの2人は同じ中学校だけど、別のクラス。あんた以外の3人は中学生活を上手くエンジョイしているの。
プライドの高いあんたは自分だけがハブられて、落ち込んでいるなんて言えなかった。
親友なのにねぇ・・」
黒ずくめの少女は私を哀れむ眼をした。その惨めなものを見る目つきに腹立たしさが込み上げた。
それにもうこれ以上は話を聞かない方がいい気がした。
私の気持ちを察したのか、黒ずくめの少女はサッサと話を再開した。
「中2であんたは酷いイジメを受ける。相手も巧妙でね・・物理的なイジメはしてこない。モノを壊すとか盗むとかね。だから、教師にも親にも気付いてもらえない。
悪口、無視。イジられたり、睨まれたり、休み時間に付きまとわれたり。ありとあらゆる精神的なイジメ。あんたはイジメっ子をもちろん嫌いになるけど、それ以上に自分を嫌いになった。イジメられるのは自分に原因があるんじゃないかと思い始めた。人見知りで、性格が暗くて、人付き合いも上手く出来ない・・だからイジメられる」
「やめて・・お願い・・」
私は小声で何度も呟いていた。
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