第2話 黒ずくめの少女

分かるはずがなかった。

(生まれる前の魂?選択?何を言っているの?)

ますます自分の状況が飲み込めず、恐怖を通り越してパニック状態になった。


そんな私の心が読めるのか、私が頭を抱え出したからか、黒ずくめの女の子は、ため息をついて、

「そのパターンか~。もう慣れたけど。

たまに怒り出す奴とかいるから、それよりマシか。

まぁ、理解とかしなくていいからまず、聞いて。

私はあんたに、これからのあんたの人生がどんな人生なのか教えてあげる。

それであんたは選択するの。このまま生まれてくるか、それとも、やめとくか」

と淡々と話した。


そして、少女はいつの間にか持っていた、黒リボンのついた黒いカバンから、黒いノートを取り出してペラペラと捲り始めた。


私は言葉も出せず、ただ少女を眺めていた。

少女はページを捲り、あったあった、と言いながら、話し始めた。


「あんたは、19XX年、9月13日、23時56分に

XX病院で産まれる。標準体重の健康ベイビー。女の子よ。父、優也、サラリーマン。母、真理子、専業主婦。一人っ子。ここまでOK?」


「OK?って言われても・・。」

全くデタラメな話かもしれないが、具体的なことをポンポン言われると、少し信じてしまいそうになった。


「半信半疑。意味不明。理解不能。

OK~OK~。」黒ずくめの少女は軽い感じで答えた。こういうシチュエーションには慣れっこのようだった。


少女は事務口調で話を続けた。

「引っ込み思案で、無口な性格のあんたは、

保育園、幼稚園に通うけど、友達は殆んど出来ず、小学校に入学。

でもここからあんた、ラッキーゾーンに入るのよね。小学校は、優しくて世話好きの子が多くて、人見知りのあんたでも仲間はずれにされたり、苛められたりもしない。それどころか、あんたと気の合う親友が3人も出来る。」


私は、段々、根拠がない、嘘かもしれないと思いながらも話に惹きこまれていった。


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