エージェントとあとがき
第46ミッション 諜報員について
『凄腕エージェントはさっさと任務を終わらせて、可愛い彼女といちゃいちゃしたい!』をご愛読下さり誠にありがとうございます。すぐ終わるとかあらすじに書いたのに、完結するのに8ヶ月かかってしまいました。
仕事が忙しくて、まっったく筆が進まなかったです。すみません。
さて、今回のテーマはスパイとの恋愛でした。皆さんはスパイと聞くとどんなイメージを抱きますか?『007』のジェームズ・ボンド、『ミッションインポッシブル』のイーサン・ハントなど、華やかで過酷でギリギリな仕事をしているイメージですよね。でもあれは映画用に誇大広告されているらしいです。
私が今回参考にしたのは元CIAの諜報員が出したビジネス本、『CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる』です。タイトルからパンチがありますし、内容も面白かったです。
CIAとはアメリカの諜報機関、『中央情報局』の事です。アメリカの国防のために海外で情報収集をする組織になります。私が読んだこの本はCIAの暴露本とか陰謀論とかではなく、彼女の情報収集能力や相手の心理を読んだ取り入り方など、諜報員時代に培われた対人術を上手くビジネスシーンに落とし込んだものとなっております。
その中でも、物語に役立てた内容をピックアップしていきます。
①スパイに必要なのは話術!?
まず驚いたのは、CIAにとって一番の武器は『コミュニケーション能力』だという事です。なんか映画のイメージだと、格闘技ができて何ヵ国語も話せて危険な場所に潜入して機密を盗み出すという感じですね。
けど、そんな不可能任務というのは実際はなく、局員も全員格闘技ができる人ではないらしいです。著者のJ・C・カールソン(女性)は元々会社勤めからCIAに入ったので、銃火器の訓練は後から行ったと書いてありました。
対話術を駆使して情報を盗み出す。対象人物と親しくなって協力者にして情報を
Kも同じように色々な事ができる人物です。諜報員には好奇心と向上心がある人の方が向いているそうです。
②『外』からの情報だけでなく実際に確かめる!
情報収集といっても集め方は様々な方法があります。人工衛星や無人偵察機によるビジュアル・インテリジェンス、通信傍受によるシグナル・インテリジェンス、新聞や雑誌、ウェブサイトから読み解くオープン・ソース・インテリジェンス。そして、人を介して情報を得るヒューマン・インテリジェンス。今の時代、情報なんてものはネットやSNSでも集められますし、衛星やウェブ上の盗聴や監視など……、人がわざわざ赴かなくても事足りるのではないかと思われます。
ではなぜ、人による諜報活動が必要なのか?それは、『実際に確かめる』事が大事だからです。
物語の中に「塩工場」の話がありました。あれは著者の方が実際に体験した失敗談で、「生物兵器作っていると思っていた工場に武装して乗り込んだら、ただの塩工場だったwww」 みたいな恥ずかしい思いをしたそうです。
事前調査で完璧に「黒」だったのに、潜入したら「白」になる。また、その逆もあったりと、どれだけネットワークが発達して、一流の機材と人員が投入されても、『外』からじゃ確実な情報は得られないそうです。だからこそ、ヒューマンインテリジェンス【ヒュミント】が王道のやり口なのです。
③恋愛にも使えるCIAのテクニック!
例えば、あるターゲットと親密になりたいとします。最初にすることは『徹底的に調べる』という事です。出身地、家族構成、学歴、職歴、趣味、行動範囲、宗派、政治論など……。そこから切り口を探り、実際会った時に話題を振り、取っ掛かりを作ります。
けれど、一度で決めようとしてはいけません。最初はきっかけを作って、具体的な話は2度目以降にする事。会う回数を増やす事により親密になり、情報を引き出せるそうです。
Kも里桜に対して同じ事をしていました。事前に調べてデートに望み、1回目は長引かせず、良い印象を与えて『次』に繋げる。会う頻度を増やして親密になっていました。
これは個人的な話になってしまいますが、確かに初デートで何時間も一緒にいたり、相手が引き留めて長引いたデートをすると、『また会いたい』とは思わなかったですね。短い時間で何度も会うから『次はどうする?』となっていました。『CIA諜報員が駆使するテクニックは「恋愛」に応用できる』が実証されましたwww。
④スパイにはいろんな人が採用される!
これも映画のイメージだったのですが、諜報員ってほとんどが軍人上がりか特殊訓練された人だと思っていました。けれど実情は違くて、弁護士、医者、アスリート、建築家、検察官など……。すでに社会的地位を獲得していて富を築いている人達が、なぜかその地位を捨ててCIAに入ってくるそうです。これも驚いた事ですが、CIAはそんなに給料が良くないそうです。所詮は政府機関で雇われている役人なので、医者や弁護士と比べると低いそうです。『お金持ち』イメージも映画のせいですね。
そんな高ステータスな人達が『諜報員』になりたがる理由は、その『特殊性』にあると著者は語っていました。社会生活を送る上で決してできない体験ができるそうです。訓練生時代は空挺訓練や変装訓練、運転の訓練など、まさに映画の中のスパイがやる事をしたそうです。
諜報員になってからも、国のお金で各国を飛び回り、大金を使って交渉したり、偽名を使って潜入したりと、スリルがあるのは本当のようです。
けれど、誰もが諜報員に向いているかといえばそうでもありません。スパイの仕事はどの企業よりも辛いものです。居たくもない組織に身を置いたり、何年も家に帰れなかったり、盗みや脅しをしたりと、人徳から外れる事を行うのでまいってしまい、辞める人もいる。
それでも『諜報員』を続けられる理由は、それ以上のやりがいと使命感があるからです。『国防』のために働き、能力を行使できる人がエージェントになれるのでしょう。
⑤秘匿義務は本当……。
映画のシーンで、スパイが仕事の事を尋ねられると『嘘』の職業を答えていました。著者もCIAに所属していた時は家族や友人には職業を偽っていたそうです。CIAのイメージが映画に引っ張られがちなのは、実際に何をしているのかわからないからでしょう。それほど彼らの行いは非合法で守秘義務の高いものなのです。
J・C・カールソンはその守秘義務もつらかった部分があったと書いてありました。スパイ活動を自分のキャリアとして語ることはできず、私生活はほぼ潰れて仕事で海外を渡り歩く日々。家族と過ごす時間が取れず、侘しさを感じてCIAを辞めたそうです。
スパイには使命感が必要と書きましたが、それだけでは人は生きていけないのでしょう。Kもエージェントを続ける決断をしましたが、いずれは辞めて里桜と歩む人生を送れるといいですね。
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