エージェントとストーカー

第22ミッション 盗聴

 また、あの男と電話してやがる……。


「へぇ……今はギリシャにいるんだ」


『ああ、エーゲ海が美しいよ。といってもそれを堪能する時間はないがな』


「素敵ね。私、海外行ったことないから、羨ましい」


『良かったら、今度旅行で来ないか。俺も観光したことはないからな……』


「ええっ!いきなり海外旅行は、不安かな」


『なら、国内旅行ならどうだ?何処かへ一緒にいかないか』


「うん、いいね!どこに行こうか」


 楽しく旅行の計画かよ。

 くそっ、いちゃつきやがって……っ!

 里桜は通話を終えてお風呂に入る準備をする。耳をそばだてていた者も『盗聴』を止めた。




 とても、とても嬉しい事が起きた。日本に拠点を置けることになった。俺は今まで東欧・中東方面担当だったから、仮の住み家はイタリアにあった。だが、この度アジア方面の担当に移れたのだ。

 アジア圏なら何処に拠点を置いても構わないのだが、俺は迷わず日本に住む事に決めた。

 まだ、家を決めてないが空港への便があって、もちろん彼女の住んでいるエリアに近い場所がいいだろう。

 ああ、ついでにペット可の所がいいかな。いずれは里桜と住むかもしれないし。それは気が早い?別に想定するぐらいはいいだろう。

 そんな妄想を膨らませながら、Kは日本に向かう飛行機に乗る。



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