第23ミッション 気配

 今度は時間が取れたので、里桜の手料理を食べられる事になった。午後3時に家へお邪魔して一緒に買い物へ行く。マカロンの散歩も兼ねて近所のスーパーへ並んで歩いた。こうしていると、まるで夫婦のようだ。

 そんな幸せを噛み締めていると、マカロンが吠え始めた。Kに対してではない。前方から来た男性に激しく吼えまくり、彼はビニール袋を盾に距離を取る。リードを引っ張って里桜が止めるが、その男が角を曲がるまで唸っていた。


 買い物を終えてキッチンで一緒に料理を作る。メニューはグラタンだ。俺がマカロニを茹でている間に里桜が材料を切っていく。手際もいいし、包丁の使い方も慣れている。普段から料理をしているのだろう。いい奥さんになるな。エプロンをして待っててくれたらもう、満点だ。


 オーブンでチーズを焦がして完成したグラタンを二人で食べる。和やかに食卓を囲んでいると、寝ていたマカロンが急に目を覚まして吠え始めた。窓に向かって吠えるマカロンを見て、Kも気配に気付いた。


 外に誰かいる。


 窓に近付いてカーテンの隙間から外を見る。目隠し用の樹木の間からこちらを窺う人影が見えた。Kは勢いよくカーテンを開けて、相手に警告する。茂みに身を隠した奴は、そのまま去っていった。


「どうしたの?」


「いや、ただの通行人のようだ……」


 カーテンを閉めてテーブルに戻るK。その際マカロンに近付き、頭を撫でて功績を称えた。


「君は優秀だな、マカロン」


〈オメーも人間にしちゃ鼻がきくな!〉


 マカロンは忠義心溢れるいい番犬だ。今までも里桜に降りかかった不運を払い除けてきたのだろう。話を聞くと、2回空き巣に入られたらしい。引っ越しを勧めたが、ペット可で手頃な家賃のアパートが他にないらしい。


 やはり、作戦を先に進めておくか……。


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