エージェントと犬
第19ミッション ハニートラップ
ホテル最上階のバーで一人の女性が飲んでいた。今日はそのホテルで研究結果の発表会があった。その責任者の一人である彼女は面倒な挨拶もそこそこに会場を後にした。研究一筋な彼女にとっては人脈作りはとても煩わしく、カウンター席で一息ついていた。
「隣いいですか?」
仕立てのいいスーツを着た男が彼女に話しかけた。陽気になっていた彼女は了承し、彼と世間話をする。どうやら同じ発表会に参加していたらしく、ある研究所の新人らしかった。同じ研究に携わる先人として、未来ある若者に色々とアドバイスをしていく。
気さくで聞き上手な彼との会話は楽しく、「もっと話したい……」というので自身の部屋へ連れていった。部屋に入ってキスをしたところまでしか記憶がなく、後の事は覚えていない……。
睡眠薬がようやく効いたらしい。Kは彼女を抱えてベッドへ連れていく。彼女のパソコンを触ったが、ご丁寧に指紋認証のロックがされていた。隣で眠る彼女の指を拝借してロックを外す。この研究成果は今後の医学界にとっては重要なもので、なんとか情報を入手出来ないか模索していた。
だが、研究所は非常にセキュリティーが高く、入所も困難、また研究員の情報統制も完璧だった。だから、この発表会で彼女が一人になるタイミングを狙った。
研究の一区切りで気が緩み、初対面の男に色々と話して部屋に呼んでしまった。どれだけ厳重にデータをロックしていても、人の行動にロックは掛けられないからな。
Kは必要な情報を盗み出し部屋を出る。
誓って言わせてもらうが、里桜との恋愛にはなんの打算もない。純粋に彼女と付き合いたいと思っている。ホテルを出て夜風を感じながら、里桜の事を想うK。今週末には彼女の部屋にお呼ばれしている。とても楽しみだ。
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