第17ミッション 塗ってあげようか
駅で里桜と落ち合い、電車で辻堂海浜浴場まで行く。由比ヶ浜や伊豆のような人気スポットではないため、人は多くないが設備は整っている場所だ。ビーチパラソルとフロート型の浮き輪をレンタルして、レジャーシートの上で準備をする。
里桜がシャツを脱いで水着姿を披露した。目が釘付けになってしまうな。普段は服に隠されているが、思っていたよりも大きく綺麗なバストだ。さらに、程よく肉が付いたヒップに細い手足。とても興奮する。
「そっ……そんなに見ないで……」
いかん。ガン見していた。言葉を失うほど見惚れていた。里桜が日焼け止めを塗っているのを見て、Kの欲望が疼いた。
「背中を塗ってあげようか」
下心しかない提案だが、恥ずかしがりやな里桜は断るだろう。試しに言ってみただけなのだが、驚きのOKをもらえた。
背中を向けた里桜に日焼け止めを塗っていく。細い首筋に滑らかな肌。綺麗な腰つきに腕を回したくなる。背骨を指でなぞったら鳴くような声を出した。かわいい。
「里桜、髪はそのままなのか?」
「えっ?そうだけど……」
「下で結んでいると、髪止めがどこかへいってしまうかもしれないぞ。根元で結んだ方がいいんじゃないか?」
「そうだね、ちょっと待ってて……」
里桜は髪止めをとって、カバンから櫛を出そうとした。栗色の髪を掻きあげて、後ろ一本で結ぶ。うなじが露になって最高だ。ありがとう!
いよいよ海へ入る。熱い砂浜から波打ち際に入ると冷たい海水が足を濡らす。里桜が振り返って海水をかけてきた。Kも海水をかけ返す。
ああ、なんて開放感だ。数時間前まで防弾チョッキと暗視ゴーグルを着けて森の中を走っていたとは思えないな。
「リチャード、上脱がないの?」
浮き輪の上で波に揺られている里桜がツッコんできた。やはり、不自然に思ったんだろう。
「あまり、肌を見せたくなくてね。このパーカーは防水だから、脱ぐ必要はないんだ」
『ふーん』と相槌を返す里桜。奥まで泳いで来るというので見送ってきた。浮き輪を抱えてパラソルの所まで戻ると、どっと疲れが襲ってきた。やはり、これ以上疲労と眠気を誤魔化せないな。
暑い日射しも気にならなくなるくらい、睡魔の方が勝ってしまい、Kの瞼はゆっくりと閉じてしまった。
Kは体を揺らされて目を覚ました。側には自分を心配そうに見つめる家族がいた。顔を伏せていたので、熱中症で気を失っているのかと思ったらしい。男性に丁寧にお礼を言い、頭を覚醒させる。
現在、午後3時15分。30分くらい眠っていたらしい。急いで海の方向を見たが、里桜の姿がどこにもなかった。
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