第7ミッション 次に繋げる

 デパートを出たKと里桜。

 鳥の糞は避け、転けそうになる彼女を受け止め、汚水をかけられようが、たらいが落ちてこようが全て避けてやった。

 嘗めるなよ。

 俺は『先読みのK』と呼ばれている男だぞ。こんなの流れ弾を避けるよりも簡単だ。1度来た不幸だろうが、予想だにしない不運だろうが、回避できる。

 ノーダメで映画館に到着し、別の恋愛映画を鑑賞する。かなりコメディ要素が強く、唐突なミュージカルが笑える程よい映画だった。

 恙無く映画鑑賞を終えて駅まで来ると、里桜が財布を出してきた。


「あの、洋服代払います!」


「それは俺が君に贈りたくて買ったんだから、気にしなくていい」


「でも……デート代も払ってもらって、悪いから」


 相手に奢ってもらう事をなんとも思わない人間もいるが、里桜はそれを重荷と感じる人間のようだ。を求められると警戒しているのだ。


「では、『次』に会った時は君が奢ってくれ。もちろん、折半でもいいが……」


 こう言えば彼女の不安も払えるし、次の約束も取り付けられる。里桜は少し悩んだが、デートの申し出に了承した。映画の鑑賞も含めてたった四時間程度のデートだったが、長く引き止めるのは良くない。

 『次の約束を取り付ける事』という第一関門は突破した。後は『回数を重ねる事』で親密になっていくしかない。







……………………………………………………

Kが『不運』に対してイキっているのが、なんか可愛いです。本人は大真面目ですけど。

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