第十八話:信頼


 「お前はこの世界に不要だ! 予定通り消し去ってくれる!!」


 「マリアーナ! しっかりしてですわ!」



 マリアーナを中心にみんながまるでゾンビの様に私に向かってくる。



 「くっ、こうなったら奥の手ですわ!」



 私はそう言って持ってきたニンニクと十字架をかかげる。

 さあ、これでどうだ!?




 「‥‥‥何の真似だ?」




 「へっ?」



 一瞬マリアーナは困惑した表情をする。


 しかしすぐにまた私を睨んで言い放つ。



 「貴様の行動は予測がつかない。しかしだからこそ私の支配が及ばないのか‥‥‥ 何のつもりか知らんがそんなもので私をどうする気だ?」


 「なっ!? だ、だって、悪魔と言えば十字架とニンニクと相場が決まっているのではないのですの!?」



 「知らんなそんな事。やれ!」



 そんなっ!

 悪魔に十字架やニンニクは鉄板のはず!?



 「くっ、こうなったらみんなごめんなさいですわ!!」



 ぴんっ


 ぱしゃっ!



 私は最後のアイテム、聖水を取り出しピンを抜きそれをみんなにぶちまける!


 あ、ちゃんとした聖水よ?

 自家製のじゃないからぶっかけても問題無いわよ?



 しかしみんなはぶっかけられた聖水なんて気にもしないで私に迫って来る。



 「ふん、その程度の聖水では私に効果はない! さあ貴様も取り込んで予定通り始末してくれる!!」


 「そ、そんなですわっ!!」



 がしっ!



 私は迫りくるみんなに掴まってマリアーナの前に引っ張られてくる。

 マリアーナは楽しそうに私の頬に手を当てニヤリと笑う。



 「くっくっくっくっ、これで良い。貴様は予定通り死ぬのだ。私の予定は完璧! この世界は私の予定通りでなければいけないのだ!!」


 「くっ! ここまでですの!? マリアーナを助けられずフラグ回避をし続けていたのにですわ!!」



 私は悔しさにそう叫ぶとマリアーナはピタッと止まる。



 「フラグ回避だと‥‥‥ 貴様一体何者だ!? 私の世界の運命を知る者なのか!?」


 「わ、私は‥‥‥」



 ぐっ!



 マリアーナの手が私の首にかかる。


 「危険だ! 貴様の様なやつがこの世界にいるのは危険だ!! 私の、私のシナリオは完璧なんだ!! させない! 私のシナリオ以外には運命を変えさせはしないぃっ!!!!」



 「ぐっ、マ、マリアーナ‥‥‥」





 『やはりそうでしたのですわね?』




 首を絞められ意識がもうろうとし始めた時その声は聞こえてきたのだった。

 

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