第13話

☆☆☆


ほとんど徹夜で授業内容を頭に叩き込んだけれど、前日からの寝不足もありなかなか集中して試験を受けることができなかった。



気がつけば半分以上時間が過ぎていて、それなのに、答案用紙には空白が目立った。



でたらめでも何でも言い。



とにかく空白を埋めるために時間を使うことになってしまった。



「試験どうだった?」



3科目の試験が終わった直後、由香里が聞いてきた。



あたしは大きなため息とともに左右に首を振る。



「そっか……」



「なぁに暗い顔してんの! 今回の試験がダメでも、受験まではまだ時間があるんだから大丈夫だって!」



蒔絵があたしの肩を叩いて元気に言う。



「そうだね。それまでにまた頑張らないとね」



前向きな意見を口にしながらも、これが受験当日だったらと考えて体が震えた。



今回は判定試験だから大丈夫だけれど、本番でも同じように問題が解けない可能性だってゼロじゃない。



それこそ、祖父の容態が悪化したりしていて、影響がでるかもしれない。



でも、そんなことを言っていちゃいけないんだ。



どんなことがあっても、受験はみんな平等に行われる。



あたし1人をひいきすることなんてないんだから、自分が強くならなきゃいけないんだ。



受験はメンタルとの戦いだと、先生も言っていたけれどその通りだ。



「今日も病院へ行くの?」



由香里からの質問にあたしは頷いた。



「もちろんだよ」



お祖父ちゃんが目を覚ました時、隣にいてあげたい。



今はその気持ちが強かったのだった。

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