フェイのこと・その1
人物紹介順で次はフェイになります。
フェイは「黒のシャンタル」を読んでくださっている方はよくご存知でしょうが、登場シーンは少ないながら、かなり重要な意味を持つキャラです。人気もあります。ベルと人気を二分していると言ってもいいかと思います。
シャンタル宮の侍女見習いで、トーヤの世話役になったミーヤの監視のために侍女頭のキリエがミーヤに付けた子です。内気で他の人とも一線を引き、常に孤独でいるような子で、キリエがフェイを付けた理由もその「あまり人と打ち解けぬ部分を知っての上で」トーヤと親しくなることがないだろうと考えてのことでした。
それが、ある時からトーヤにとてもなつくようになり、心を開いて子どもらしくなっていきます。
シャンタル宮の中でトーヤとミーヤとフェイ、3人で一緒にいる時間がフェイにとってとても幸せな時間になりました。
そもそもフェイは幸薄い子です。生まれて割りとすぐに実母が亡くなり、しばらくは父親と2人で暮らしていましたが、新しい母親が来て、下の子が生まれると邪魔にされるようになりました。そしてどこかに奉公にでも出してしまおうかと言ってた時に侍女の応募があり、条件が合ったので一応受けさせたら合格したという経緯で宮へ入りました。本人の意向ではありません。
シャンタル宮の侍女にはミーヤやリルのように侍女になりたいと希望して入ってくる子だけではなく、フェイのように厄介払いのようにして入ってくる子もいます。はっきり言ってしまうと宮へ捨てられた形です。
家で邪魔にして奉公に出したり、どこかに養子に出したりしたら、その後で親はそのことで評判を落とすこともありますが、うまく侍女になってくれたら世間に対して自慢することもできますし、その時にもらえる金額も全然違ってきます。もしも落ちても競争率は高く、恥ずかしいことでもないですしね。
そうして親に捨てられたという意識もあり、孤独だったフェイですが、そのような理由からですがトーヤ付きとなり、トーヤはトーヤで、おそらくそういう役割で付けられた子であろうと分かりながらもかわいがらずにはおられなくて、どんどん親しくなっていきます。
そのことをミーヤは、
「トーヤとフェイの心の間には距離がなくつながっている」
と、そう表現しました。
トーヤだけではなくミーヤ自身も、自分に付けられた監視だろうと分かりながらも、フェイを実の妹のように思うようになっていて、フェイ自身も、2人と絆ができた自分のことを、
「この世で一番幸せな子だ」
と言っています。
家族との縁が薄く、血のつながりのない3人ですが、本当の家族のような時を過ごし、本当に幸せだったろうと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます