フェイのこと・その2

 そうして幸薄い人生を送っていたフェイでしたが、実は、その名前もまたそのような、幸せとは言えない女の子のキャラからいただきました。


 フェイを描く時に、ちょうどある大人気漫画に出てきた女の子がフェイという名前で、やはり登場シーンは短いながら、物語に大きな影響を与える子として描かれていました。それで即決、フェイにしようと決まりました。

 その少女は本当に残酷な運命の持ち主で、その作品の中では全く救いのない描き方をされていました。その分、うちのフェイをかわいがってもらえるようにしようと意識したわけではないのですが、孤独な一生を送るだろうと本人も思っていたのに、信じられないほどの幸せと出会うことになってよかったと思います。

 

 もうお読みの方ではフェイというと「青い小鳥」がキーワードになっているかと思います。まだ読んでいらっしゃらない方にネタバレになるのはちょっとと思いますので詳しくは語りませんが、これから読んでくださる方もちょこっと頭の隅に置いてくれるといいかなと思います。

 

 シャンタル宮の侍女はみんな自分のイメージカラーというようなものがあるのですが、フェイは青でした。青も普通の青です。濃いとか薄いとかもなく、普通に青というとイメージする青と思っていただくといいかと思います。


 ミーヤの時は応募で採用された侍女は5名だったんですが、フェイの時はもう少し多かったんです。これは定期的に採用されるのではないことと、適正があると思われる女の子の数次第ということになりますか。とにかくフェイの時は多かったので、みんな一斉に好きな色を選ぶようにと言われ、とりあえず人数分の衣装を渡されたところ、体も小さく、内気で少しばかりスローモーなフェイは最後に残った色を手にすることになりました。

 その色が嫌なら言って他の色にしてもらうということもできたのですが、それも言えないぐらい大人しかったので、嫌だと思いながらずっと黙って青を着ていました。


 ところが、トーヤは自分でその色を選んで着たりはしてなかったんですが、なんとなくイメージが青なんです。後にある人が「おまえのイメージだ」と言っていますがそうなんですね。

 それで、ある時に「あ、私の青はトーヤ様と一緒」と思って以来、大好きな色になりました。トーヤとお揃いがとてもうれしくて、その色と同じ小鳥のことも大好きになったことから、重要な「青い小鳥」とお友達になることになりました。


 トーヤとミーヤとこの青い小鳥がフェイの宝物です。

 何があっても、永遠にフェイの心に、手の中に、大事に握りしめられた宝物になりました。

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