2023年  5月

リルのこと・その1

 久しぶりに「黒のシャンタル」の登場人物について書こうと思います。

 「人物紹介」の順番で、次はリルです。


 リルは「黒のシャンタル」をお読みいただいた方にはもうお馴染みの、父親共々かなりの重要人物になっているシャンタル宮の侍女です。

 ですが、これもまた私にはよくあるパターンながら、最初はちょろっと出るだけの予定でした。そしてやはりもっと違う感じのお嬢さんになる予定でもありました。


 シャンタル宮の侍女のミーヤは託宣の客人トーヤの世話役になりますが、それはかなりの大抜擢、当然のように周囲の侍女たちからもやっかみやねたみの声が上がります。

 その中にはかなり「それはどうよ」と思うような話もあるんですが、最初はその一団の一人で、ミーヤにそのよろしくない噂を耳に入れにきたりと、結構「やなやつ」になりそうでした。


 なので一番最初に登場した時、ミーヤの休みの日に侍女頭のキリエの命令で代理でトーヤに付いた時は、結構そういう子として登場しています。なんとなくツンとして、そんでもってトーヤを見張って何かあったら言いつけてやろう、みたいな。

 それがそのことを感じたトーヤに撃退されて逃げ帰るという顛末になりました。


 プライドだけは高いが、口は達者でも実際に何かするとなったらあまり実行力はない。良い家の出身で、これまでも何かあると「お父様」や家の力に助けてもらっていた。そしてそういうことを自分の力と思っている。なんとなくよくある悪役令嬢っぽいタイプを浮かべていました。


 ミーヤとは同期だが、「行儀見習い」で入った侍女なので、応募で宮に選ばれたミーヤたちに対抗意識を持っている。なので話をする時にもちょっと敬語、と想定していました。

 それで二度目に登場する時にも最初はミーヤに対して敬語を使っていたのですが、役割が変わったのでこっそりとセリフを書き換えたのは内緒です。


 なんでそういう設定をやめたかといいますと、


「つまらんな」


 と、単純に思ったからです。


 なんとなく想像できてしまいませんか、そういうステレオタイプの悪役令嬢って。


「おーほほほ、私はあなたなんかよりずっとずっと素晴らしい存在ですのよ」


 って、頭に大きなおリボンつけて、くるくるロール髪、ちょっと吊り目で取り巻きの2、3人も連れている。

 

 実際に一度は、


「ちょっと噂を耳にしたのだけれど」


 と、ミーヤにトーヤとの噂を告げ口するシーンを書いていて、


「ああ、つまらん、やめだやめだ!」

 

 と、そのシーンを廃棄しました。


 そして一度はそのまま保留で待機してもらってたんですが、話が進んでいって、


「あ、リル使えるな」


 と、かなりの重要人物に昇格することになりました。

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