アランとベルのこと・その3

 さて、そうして双子ではなくなって、どのような兄と妹かが定まったアランとベルですが、その形にすることですんなりとシャンタルとトーヤに出会う時の形も決まりました。


 それを独立させたのが30話の外伝「銀色の魔法使い」です。

 読んでいらっしゃらない方はよろしければご一読ください。本編を書いている時に頭の中にあり、書きたい書きたいと思っていた話です。本編に入れようかと思ったこともあるんですが、そうするとただでさえ長くなってる本編が「どないもこないも」な形になると独立させました。単独でも楽しんでいただけると思います。


 戦で孤児になった2人が戦場でトーヤたちと出会って仲間になる。そう決めた段階でほぼ形もできていたように思います。序章の中ですでにそのことに軽く触れていますし。


 ただ、もう一人上に兄がいるというのはこの時にはまだできていませんでした。本編を書きながら並行するように話の細かい部分も浮かんでいったんですが、最初は二人きりで生き残ってと考えていたものの、「幼い二人だけで生き残るのはちょっとしんどくない?」と思って、少し年が離れた兄の存在が浮かびました。

 そして同時に3兄弟の伝説もできてきて、それに沿う形でアランとベルも愛称で、兄と3人で一つのグループの名前が決まりました。

 私の頭の中には自分が作った神話の断片がいくつもあったりします。これから色々書いていく上でまた出るかも知れませんし、出ないかも知れませんが、あるのはあります、とだけ。


 そうして生い立ちが決まってしまうと二人の性格も自然にできてきました。モデルの2人の影響もあると思いますが、そのベースの上に生まれ育ちが乗っかったら今のアランとベルになったという感じです。


 前述の兄「アスレイ」ですが、そういうわけで、最初に出てきたのが二人だったもので、登場前にもう死ぬ運命が決まってしまったのは大変気の毒だとは思っています。ですが、トーヤ風に言うと「決まってたもんはもうしゃあねえわな」ということで、ごめんね!


 その分この兄はいわゆる王道の主人公タイプにしてあります。

 背が高く、体つきもがっしりして、強くて、頭もよくて、かっこよくて、村でも人気者で、弟と妹を可愛がって、そしてその二人を守るために死んでいった。

 どれだけ強くても人間はふとした瞬間に命を落としてしまうこともある、そのことも言いたくてそれを全部アスレイに背負わせてしまったような形です。


 えっと、トーヤ君、アスレイが生き残ってなくてよかったね。彼がいたら君、立つ瀬なかったよ?

 怒ってるけど、いや本当。君、主人公タイプじゃないし!

 と、アスレイへの申し訳なさを主人公にぶつけることで今回は終わり!

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