マユリアのこと・その2

 今回もマユリアのことを少々……


 さて、女神様として生きると決まったマユリアですが、それにはシャンタルとマユリアが存在するために大事なことがあります。


「穢れに触れられない」


 そもそも十年で交代するのも人の世の穢れに触れると健康を損ねる、っていい方が正しいかどうか分かりませんが、まあ下手すると命を落とすかも知れない、そのぐらい大層なことなので、そのためにそういうシステムを作り出しました。


 何しろ清らかな神様です。神様にも血にまみれて平気と言うと語弊があるかも知れませんが、まあ戦いの神だの、シャンタルと同じように人の世に国を作った「アイリス」という女神様が「アルディナの神域」にいる設定なのですが、こちらは剣の女神様で、そもそも国を作ったのも人間の剣士に恋をして一緒になったからだったりします。


 アイリスと比べると、マユリア、かなり損ですよね……


 シャンタルはまだ幼く、物心ついてやっと女の子という意識を持つ頃までが任期ですから、そういうことになりにくそうですが、代々のマユリアは、ティーンの一番輝いている時代、青春時代、人生の花とも言うべき十年を人のために生きないといけないんですから、やっぱりどうにも気の毒です。


 ですが、どうしても必要な設定なので、損なままでいてもらうしかありません。


 マユリアがどうして人の世にいるかと言いますと、神様たちが神の世界に帰る時に、


「残された人間がかわいそう」


 と思った慈悲の女神シャンタルが、残って人のために人の世に存在することを選び、その侍女の女神のマユリアも主の女神と共に人のために存在することを選んだからです。


 言ってみれば、とっとと「人間のことは人間でどうぞ」と、神様の国に帰ってしまった他の神様と比べて、神様としてもはなはだ自己犠牲の精神に満ち満ちている二人と言えます。

 なので、そのへんはまあ、その依代よりしろに選ばれてしまったことを諦めてもらうと言いますか、この作品的に言いますと「運命」だと思ってがんばって! としか。


 しかもこの物語当時の当代マユリアは、代々の他のマユリアと比べても長く、さらに八年、28歳まで女神様として人のために生きているんですから、そう作った作者からも謝り倒すしかないぐらい気の毒ではあります。

 


 今のところ、見た目は元気そうにしています、28歳のマユリア。

 本来なら人に戻っていたはずの八年、その間の「穢れ」がマユリアにどう作用するのかしないのか。

 二千年の歴史の中で初めてのことです、誰にもどうなるのかは分かってはいません。


 という、設定です。

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