ミーヤのこと・その1

 さて3人目はミーヤです。


 ミーヤという名の人物は2人いるのですが、1人は思い出としてしか出てこないので、ここで言うミーヤはシャンタル宮の侍女、オレンジの衣装の侍女のミーヤです。


 実は、最初はミーヤはあくまで「侍女A」といった役割しかありませんでした。

 シャンタル宮で目を覚ましたトーヤが、見たこともない服装の女性に丁寧に扱われ、どうなってるんだ、と混乱する。その時に出てくる、出オチのような登場をして、それだけで終わるはずでした。

 なぜなら、その頃、トーヤが目を覚ました頃、まだトーヤの相手役としてはマユリアを想定していましたから。


 それが、マユリアは女神様業に集中してもらうことにして、トーヤとのロマンスがなくなると、トーヤがやたらとその侍女を気にするんですよ、ええ。


 いや、本当に、いつの間にミーヤがそういうポジションに登ってきたか、もう書いてる本人も覚えてないぐらい、自然に、気がつけばそういうことになってました。


「あんたら、いつの間に……」


 まさにそういう感じです。


 なので、最初は性格設定も、どういう生き方をしてきた子かも、どうして宮に侍女として上がることになったかも、ぜーんぜん、なーんにも、これっぽっちも考えてすらいなかったです。


「ひどい、そこまで言わなくても……」

「おい、ミーヤに謝れ!」


 って、2人してこっち見ても、いや、本当なので仕方がない。

 うん、睨んでも怖くないから!


 おそらく、最初はどうやって話を進めていくか、そこばかり考えていて、序章のトーヤが仲間に過去語りをする、そこにばかり意識がいってたからだと思います。


「嵐に流されて目が覚めたらそこが豪華な宮殿で」


 と、トーヤが語る昔話が、まるで竜宮城に行った浦島太郎みたいでびっくりして、のイメージを浮かべたら、やっぱりきれいなお嬢さんたちがニコニコウフフと迎えてくれるのがいいだろうな、みたいな感じでした。


 そうそう、最初は数人でそうやって迎えてくれる、みたいにも考えていました。なのでミーヤのそばに侍女見習いの女の子、今は文章でちょろっとだけしか出てきませんが、そういう子が付いています。


 そのあたりはなんとなく「禿かむろ」のイメージでしたね。

 聖なる宮のイメージが、吉原みたいな綺羅びやかな遊郭ってのはちょっとそぐわない感じではありますが、侍女が太夫見習いの「振袖新造」で、そこのお勉強のために小さな子、つまり禿がついている、みたいにイメージしていた記憶があります。

 

「だったらいっそそういう場所ででも目を覚ました方が……あ、あ、すみません、嘘です!!」


 と、トーヤがいらんこと言って誰かに睨まれてますが、そういう漠然としたイメージでしたミーヤは。

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