第8話 縁

 ひょんなところから、猫をもらってもらえないかと話が来た。保護猫2匹。どちらかというと、猫はあまり好きではなく、犬をいずれ飼いたいと思っていた。

 

 早々に断ろうと思っていたが、なんだか気になって仕方がない。娘の様子を見ていると、自分のことで精いっぱい。自分のことだけではなく、家族以外の愛しい存在、思いやりの対象ができれば、体の動かない辛い日々に少しは刺激になるのではないかと思った。

 生き物はご縁。これは子どもを授かった時に思ったこと。命ばかりは、こちらの意図で何とかなるものではない。子どもといえども神様からの預かりもの。猫も私たちに縁があってやってくるのだと。


 猫がやってきても、朝の体調は変わらない。本当に体がしんどいんだ。信じていないわけではないが、こういう時に娘の体調の悪さを確認することがある。

 猫がやってきてしばらくすると、子どもたちが

 「ママ、最近ガミガミ怒らないね。」と言った。私が一番、彼らに癒されているのではないかと。

 家庭の中が猫のおかげで、明るい笑い声にあふれるようになってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る