第6話 罪悪感
冬のどんよりとした雲が垂れ込める。そんな日はより一層体調が悪くなるようだ。
朝は、しんどくても起きる 水分をしっかりととる、塩分をとる。病院からそんな指導を受けた。
一気に加速したテレワーク。家で出来る仕事をテレワークで出来るようにし、娘のケアに当たりながら、綱渡りのような仕事をしていた。
起きようとしない娘の体を揺り起こしながら、定期的に声をかける。決して楽なことではない。心が疲弊する。
乳幼児の病気のケアと違い終わりが見えない。とにかく目星が経たない。
家で本当に仕事をしているのか‥そんなことを言葉では聞かないが、なんとなくそんな空気を勝手に感じてしまう。仕事は仕事 家庭は家庭 そんなことくらいわかっている。家庭が上手くいってこその仕事。家庭がぎくしゃくすると仕事のパフォーマンスは上がらない。
仕事を続けることの限界を感じながら、責任あるポジションを放り出して辞めれるような状態ではなかった。
小さなときは実母の力を借りることができた。でも思春期は違う。娘の微妙な心の動きに寄り添いながら、声をかけてていくケア。乳幼児のケアと違い複雑。
ましてや、朝起きれない病気で、夕方には元気になっている。日中はダラダラとテレビを見たり、スマホゲームで遊んでいる姿を見ると、母の世代には理解できないことばかり。「甘えている怠けている、なぜなのか」の連発。必死で説明するが、なかなか理解できないらしい。
母の娘に対する心配を聞くと、自分の思春期を思い返し、終わったはずの反抗期がむくむくと湧き上がってくる。私は娘であり、母でありなんとも言えない複雑な感情を抱きながら生活をしていた。
母は娘を見ると胸が痛いと、このころから訴えていた。これを放置していて、この後大変なことが起きる。
夕方に娘と散歩に行きたくても、仕事を終え子どもたちのご飯をつくるとそれで、1日のエネルギーを使い果たし、私自身は使い物にならない状態になる。
夫は娘の体の調子の良い時を見計らって、好きな本屋さんまで歩いていこうと誘った。毎日テレワークというわけにもいかなかったので仕事場へ行く。そんな時には家で一人でいるときはどんな気持ちで家にいるのだろう、お茶を飲めているのかな?味噌汁は飲んだかな?などと思うと気が気でなかった。
私は仕事を続けることへの罪悪感に満ち溢れていた。
布団にくるまって眠り続ける娘。中学1年生の冬が始まった。
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