第5話

兄貴は追い討ちをかける様に

ベッドから降りて立ち上がった。


そして言うことには。


「ま、そーなんだよな。本音を言えば。

どんな手で作ったかわからねぇ、手作りよりは、ぶっちゃけた話、衛生的な環境下で作られた高級チョコの方が良いわけで!」


「わりいけど、それ、俺、食べないから」


シンヤは、泣きじゃくってる

ユナの足元に落ちた紙袋を、まるで

汚いものでも拾いあげるようにつまんで

持ち、ベッドの隅に置かれたゴミ箱に放り込んだ。


流石に。


ユナは、

部屋から逃げるように飛び出した。


「お、おい...!!酷過ぎるだろ...!

ユナのやつ、かなりの時間かけて作ってくれたんだろ!?それをゴミ扱いするなんて...!」


俺がシンヤを嗜めたけど、

シンヤは聞く耳を持たなかった。


「いいんだよ!俺はさ。

もう、林ユーコってゆー、可愛い彼女がいるわけだからさ!別にユナなんか、

確かに胸が大き過ぎるから、一度抱いてみたいと

思って付き合うことにしたけどさ!」


「やっぱり地味なんだよな。

顔や、性格がさ。眼鏡だし、重ため前髪だし。

髪の毛、定期的にすくとかしろよって感じ!」


「ま、ユーコと違って、母子家庭の

貧乏人だから、そんなちょくちょく、美容に

金かけられないんだろーけどさ!!」


ユーコはけらけらと笑い出した。


「かわいそー!貧乏人って、ほんっと

ケチケチしなきゃいけないから、かわいそう!!」


嫌な感じの笑い声。


ユナは部屋にいないが、、


俺は紙袋をゴミ箱から拾い上げて、

ユナを追いかけた。


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