New Year

３

　ママの声が耳元で聞こえてきた。

　核ミサイルが爆発したような声だ。

「また悪夢にうなされておねしょしたんでしょ！　早く起きないと初詣に遅れるわよ！！」

　うっすらとまぶたを開くと、ママの顔が目前にあった。

　激怒しているママは眉間に皺を寄せ、おっかない顔して睨みつける。

「今後は、過激なホラー映画とアクション映画を観るのを一切禁じますからね」

「ママ、そりゃないよ……」

「もっと教養のある楽しい映画を観なさい、まったくもう！」

　ぼくは、涙をぬぐいながらびしょ濡れになったパジャマのズボンとパンツを脱いで、胸の奥でつぶやいた。

――変な夢だったな……。

　着替えの服を渡したママがぼくにこう告げた。

「来年は大学を受験するのよ。もっとしっかりして頂戴――それといい加減ピンポンダッシュは卒業しなさい！」