第2話
デッスー「真偽の確認……です?」
死神長「ああ、デッスーは信用しているようだが、咄嗟に吐いた嘘という事もあり得る。剣神様に確認しておくべきだ」
デッスー「はっ! 確かにです!」
死神長「疑うのも大事だぞ……? 剣神様はまだゴッド病院に居るようだ。手土産でも持っていくといい。代金は私に付けておけ」
デッスー「感謝です!」
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デッスー「失礼しますですー」
剣神「主が話を聞きに来たという死神か?」
デッスー「そうです! これ、お見舞いのケーキです」
剣神「おお! ケーキ!」
デッスー「あ、良かったです! お好きなんですね!」
剣神「べ、別に好きというわけではないぞ。復唱しただけだ」
デッスー「なぜ復唱をしたのです??」
剣神「な、なんでもよかろう。冷蔵庫が空いているからそこに入れておくといい」
デッスー「はーいですー。そいえば、剣神様ってイメージではもっとゴリゴリのマッチョなお爺ちゃんだったんですけど、本当はかわいい女の子だったんですね!」
剣神「お、女の子などではない! これでも神界で上から数えた方がいい歳なのだ。神の外見は精神に由来すると言うが、当てにならんものよ! はっはっは!」
デッスー「そうですよね! 精神通りなら私ももっと美人なお姉さんのハズです!」
剣神「主は合っているのではないか?」
デッスー「剣神様ひどいですー!」
剣神「はっはっは! ところで主、用件は良かったのか?」
デッスー「は、そうです! 剣神様が怪我をした時の事なんですが……」
剣神「け、けけ、けが、怪我をした時の事か?」
デッスー「はいです。神斬りでの怪我という事ですが、実は違うのでは……と聞きに来たのです」
剣神「あ、いや、確かに……神斬りによる怪我では、ない」
デッスー「あ! ですよね、良かったです! やっぱり事故の怪我だったんですね!」
剣神「じじじじじじじ、じ、事故、ではないぞ。あの怪我はだな……えっとだな……」
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剣神「久しぶりの人間界楽しいな! 初めて来た土地であったが、大福なるものも美味であった! さて、町で
モノコ「背後がガラ空きだ。拙者を探していたな? 何者だ」
剣神「ほ、ほほほ、ほう、不意打ちとはいえ、よよよ余の首に刀を当てるとは、ややややるではないか」
モノコ「腕試しの子? 小さいのにこんなとこまで来ちゃ危ないよ」
剣神「子供扱いするな! それに主こそ子供だろう!」
モノコ「子供じゃない。もう十七の立派な大人」
剣神「やはり子供だろう!」
モノコ「とりあえず、実力差は分かったでしょ。もう帰りな。暗くなってきたし森の外まで送ろうか? 近道通ればすぐだよ」
剣神「さ、さっきのは背後からだから無し! だから一旦この刀退けろ! 仕切り直しだ!」
モノコ「しょうがない。少しだけだよ」
剣神「ふぅ……怖かった……」
モノコ「もしかして、その背中に背負ってるおっきな……剣? 鉄塊にしか見えないそれを使うの? よく持ち歩けてるね」
剣神「ふん、こんなもの。
モノコ「おおー、すごい! 木の枝振り回すぐらいに軽々と大剣を振り回してる!」
剣神「はっはっは! どうだ怖気付いたか!」
モノコ「うんうん、確かにこれは久しぶりに“楽しめる”かも。それじゃ始めようか」
剣神「ほ、ほう。まだやる気とは良い度胸だ。ではゆくぞ!」
モノコ「あんな剣を持ちながら、見た事の無い速さで拙者の周りを不規則に動き回っている――けれど、目で追える!」
剣神「今だ、そこっ――!?」
モノコ「今までで一番の相手だったよ」
剣神「よ、余の剣が弾き落とされた……?」
モノコ「ほら、大きいだけあって剣は無事みたいだね。お返しするよ」
剣神「っ……! ふえぇぇぇん!!」
モノコ「あ、あれ……?」
剣神「ばーかばーか! 偶々手が滑ったんだ! 今度は余が勝つからなー!」
モノコ「あ、泣きながら走ったら転んじゃ……あっ」
剣神「け、剣がー……痛い……」
モノコ「えっと……横一文字にお腹に切り傷出来てるけど大丈夫……?」
剣神「よ、余は剣神だから……これぐらいは……って見るなー! もう余、おうち帰る!」
…………
…………
…………
デッスー「事故じゃなかったんですかー?」
剣神「そ、そうだ! あ、あれはだな……せ、切腹での傷だったのだ!」
デッスー「切腹です?」
剣神「ああそうだ。サンコクの国に伝わる行為でな。余はあの侍と戦ったが負け……ではなく引き分けたのだ!」
デッスー「引き分けだったのですか!」
剣神「そ、その通りだ。神が人如きに負け……ではなく引き分けるなど起こってはならぬ事。余は自らを戒める為に腹を斬ったのだ!」
デッスー「なんとです! 流石は剣神様です! 私なんて負けたのに恥ずかしげもなくノコノコ帰ってきて……い、今ここで私も腹を切った方がいいですか!?」
剣神「お、落ち着け! 余は切腹により周りに迷惑を掛けてしまっているだろう? 主まで同じ事をする必要はない」
デッスー「は! 考え及ばずです……! 剣神様は思慮深いです!」
剣神「は、はは! そ、そうであろう! とりあえず、まあ。そういう話だったわけだ」
デッスー「お話聞けて良かったです! ありがとうございましたです! またです!」
剣神「うむ、またな」
剣神「ふふふ、ケーキ食べよっ」
…………
…………
…………
デッスー「剣神様とお話したんですけど、
本当は勝負引き分けだったんですか?」
モノコ「え……? あー、うん。実はそうだったんだよね」
デッスー「話盛っちゃ駄目ですよー」
モノコ「うんうん、その通りだ。ごめんね」
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