男の眼に容赦なく突き立てる。充血した虹彩から血が吹き出し、潰れた水晶体が止めどなく分泌液を流し続ける。

 男は四肢を芋虫のようにばたつかせ、床に置かれた酒瓶を蹴り飛ばす。壁に当たって割れた瓶の甲高い音が悲鳴のように君の耳にこびりつき、けたたましく背筋を撫でた。

 君は人を殺す快感に咽びながら、無心でボールペンを掻き回す。水晶体を破り、血と肉の混ざったスープがペン先にまとわりついた。糸を引くように伸びた視神経を戯れのように引きちぎり、その奥の肉の赤さを君は目撃する。

 男は既にのたうつ力すら無く、陸に上がった魚のような脊髄反射の痙攣を繰り返す。逆流した血が鼻や口から湧き上がり、静かに窒息していく。きっと苦しみながら死んだのだろう。君は満足感に打ち震えながら、途絶える瞬間の命の輝きを全身で味わっていく。


 君は、自分の欲のために人を殺したんだ。

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