第2話

 賽の河原で今日も彼女は石を積み、何かの建物を作っていく。作るといってもそんなには大きくなく、端から見たら四角く囲ったり丸く囲って高く積んでいたり。

出来上がろうかという所で鬼に壊されたり。

 そんなことを繰り返し何日か経った時、丁度天国の住民が時々暇潰しに行われる地獄観光ツアーの一行が訪れた。

そして彼女が積んだ物を見て一人の少年が大人に聞いた。

「あれ?アレってピサの斜塔?」

「へー、あんなに斜めになっても倒れないなんて器用に積んでいるねえ」

 そう、彼女はこの世に現存している建築物を再現していたのだった。

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