34話 晩餐会

歌が終わると、先ほどまで姿が見えなかったイルミと一緒にアイリスが優一達の席にやってきた。

「先ほどは、アトランティアを邪竜アルザラムの脅威からお救いくださり、有難うございます」

ドレスの端を軽く摘みお辞儀するアイリス。

琴音とティファリアは会釈をするが、優一は料理を食べながら手で相槌をする。

「貴方は相変わらずマナーがなってませんね」

イルミは優一に突っかかる。

「大丈夫だ。俺は気にしてないから」

「私が気にしてるのよ!」

二人のやり取りを見てアイリスと女王アリエスタはクスクスと上品に笑った。

「イルミから奴隷にされていた人達を救ったと聞きました!もし、宜しければ他の冒険譚をお聞かせください」

アイリスは歌う前の鬱屈した印象は無く、好奇心旺盛に目を輝かせていた。

話す事と言っても・・・鍛錬と奴隷解放をした事しか優一は思いつかなかった。

「悪いけど、話す事があまりないかな?俺達つい最近、旅を始めたばかりだから」

アイリスは悲しそうな眼をする。

「じゃあ、ラティスとルナフィーネと遊んでおいで」

優一がそう言うとイルミがまた突っかかる。

「王女様を子供扱いしないの!」

「分かった。分かったから、そんな怖い顔するな!」

アイリスの事になると、やけに怒るイルミ。

(二人の間には、何か特別な関係があるのか?)

「なら、ティファリアと話をすると良いよ!アイツとなら気が合うだろ」

食事を終えた優一達は偉人達と対話を楽しむとアリエスタが用意してくれた寝室へと向かった。

水で出来たクッションにマットレス。

ラティスとルナフィーネはベッドにダイブする。

柔らかいマットレスに沈む二人は楽しそうにトランポリンの用に遊んでいた。

「琴音様、このベッド柔らかくて気持ちいです」

「弾力凄い」

「壊れたらいけないからほどほどにね!」

「ほら、二人共先にお風呂に入りなさい」

二人は浴室へと向かった。

「二人共、何だかお母さんみたいだな」

二人は耳元まで赤くなり恥ずかしそうに優一を見つめる。

「私達がお母さんなら、兄さんが・・・その・・・お父さんですか?」

「お、俺には父親が務まらない」

優一は動揺して慌てふためく。

三人の浮かれた空気を割るかのように部屋の扉が開く。

どうやら扉を開けたのは女王アリエスタだった。

「優一殿・琴音殿・ティファリア殿、貴方達に見せたいものがあります。付いて着てください」

三人はアリエスタに案内され、ある部屋へ入る。

部屋の中には石で付く作られた台の上に大きなクリスタルが一つだけ置いてあった。

「これはなんだ?」

「これは、手を翳した者の力を数値化して投影します。勿論気の力も測定できます」

優一は奴隷の街で、女の冒険者が使っていた妙な道具を思い出す。

「力を解放して手を翳してみてください」

「ここで、大丈夫なのか?」

「大丈夫です。この宮殿は丈夫に作られている上に外の結界と同様、ここにも結界が何重にも張り巡らされています」

「そうか、分かった」

三人は気を最大限まで開放する。

部屋は、部屋だけではない。国全体が気の圧により地鳴りがおきる。

気を解放した優一・琴音・ティファリアは、クリスタルに手を翳す。


気力 400万  攻撃力  300万  耐久 300万  素早さ 400万

装備品  上質なスーツ

属性 なし

使用魔法  なし



気力 150万  攻撃力  150万  耐久  150万  素早さ 300万

装備品  上質なドレス

属性 なし

使用魔法 なし



気力 200万  攻撃緑  150万  耐久  250万  素早さ 3100万

装備品  上質なドレス

属性 なし

使用魔法 なし



女王は三人の力を見て息を呑んだまま啞然とする。

「これでいいか?」

「は、はい。三人とももの凄い力です。優一殿に至っては魔王と同等・・・いえ、それ以上かもしれません」

「ま、魔王もここで測定したのですか!?」

ティファリアは驚きの表情を浮かべる。

「いえ、以前この国に魔王が攻めてきた時に、このクリスタルの欠片で作った道具を使って調べたのです」

「魔王が攻めて来たって・・よくご無事でしたね・・・」

「はい・・・以前魔王が攻めて来た時に他国から来日されていた王によってこの国は守られました」

「気の良い王だな!」

「その王は、私と同じ人魚(ホーリー)族でエアストヴェルトから来日されました」

「エアストヴェルトから王が!?」

基本、境界を超える事がないエアストヴェルトの人達が、この世界アトランティアに訪れていた事にティファリアを始め優一達も驚いた。

(どうやら、二つの世界に起きている事をもっと調べる必要もあるな)

三人達が部屋に戻ろうとすると、アリエスタ女王が呼び止める。

「琴音殿とティファリア殿は魔力の方は確認しなくてよろしいのですか?」

二人は優一の顔を見て頷くのを確認すると、今度は魔力を解放してクリスタルに手を翳す。



魔力 250万  攻撃力 50万  耐久  50万  素早さ 100万

装備品 上質なドレス

属性 火・風・水

使用魔法 《フライヤル》《グラビド》《ウォータークーゲル》《ウェンド》《アプノアー》



魔力 200万  攻撃力 50万  耐久  50万  素早さ 100万

装備品 上質なドレス

属性 火・風・水・紋章

使用魔法 《フライヤル》《グラビド》《ウォータークーゲル》《ウェンド》《アプノアー》



魔力の測定の方も終わると三人は部屋へと戻った。

掛け布団を頭からかぶり、部屋の片隅で震えるラティスとルナフィーネ。

琴音とティファリアが二人に近づくとラティスとルナフィーネが掛布団から飛び出し二人に抱き着く。

「怖かったです」

「ごめんね」

頭を撫でてあやす二人。

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