第四章 奴隷の国
22話 新たなる旅立ち
さてと・・・二人共行くぞ!」
「「はい」」
朝日が辺りを照らし、雨に打たれ付いた水滴が木々の葉から落ちる水が煌(きら)めく。
透き通る白い髪が腰まで伸び、少し大人びた十六歳の少女の面影はなく一段と綺麗な女性。
琴音である。
そして、琴音の横に居る胸元まで伸びた、S字のくせ毛が特徴的な茶髪の女の子はティファリアである。
四年の月日が経ち、二人は立派な女性へと成長していた。
優一も前とは比べ物にならないくらい体格が良くなり、逞(たくま)しくなっていた。
外見だけではない。力も前とは比較にならない。
三人は気を使い空へと浮かび上がると、オールワールドの南の位置にある世界樹に向けて飛び去るのであった。
▽▽▽
あっという間に境界に辿り着いた三人は空から戦争で荒れた大地を見下ろす。
「酷いものだな」
「ここは二つの世界の戦地ですので」
四人が空から戦地を見下ろしていると左右から軍勢が戦地へと向かってきていた。
「兄さん!このままでは・・・」
「ここが血の海へと化してしまいます」
「分かってる」
優一は戦地に向けて手を翳(かざ)すと、手に気を集中させ地面に放つ。
気が地面に直撃すると凄まじい暴風と轟音がした瞬間、大きなクレーターが地面に出来る。
二つの軍勢は突然の出来事に歩みを止め、戦地に攻撃した優一の方へと視線を向ける。
しかし、二つの軍勢は撤退をする素振り見せず、ただこちらへ警戒していた。
すると、今度は琴音とティファリアが優一の作った大きなクレーターに向けて《炎魔法》を放つ。
「「『フレアル』」」
炎は大きなクレーターを囲うように燃え上がり道を塞ぐ。
それを見た二つの軍勢は進行を止めて、撤退を始める。
「何とか戦争は止めれたな」
三人はオールワールドの軍勢の上空を通り過ぎ境界を越えたのであった。
三人は南へ暫く飛び続けると、大きな街が見えてきた。
「よし、今日はあの街へ泊まろう」
「ですが、街へ入るには門番に通門証かもしくは申告をしないと入れません」
「それは門から入るからだ。二人共俺に付いてくるんだ」
優一は速度を上げて街の上空に行くと、急降下して街へと侵入した。
「兄さん・・・これって不法滞在では?」
「気にするな!」
「もしバレたら私達お尋ね者だね」
「琴ねぇ、私達もうお尋ね者です・・・」
二人は目を合わせたと思うと、ため息を付くのであった。
三人はレンガ造りの道を歩いていると宿に辿り着く。
途中幾つかの宿を尋ねたが、満員で泊まれなく辿り着いたのが、いかにも金持ちしか泊りそうでない宿であった。
三人は中へ入ると、タキシードをきた宿ボーイに呼び止められる。
「申し訳ございませんが、ここは旅の方はお泊りする事が出来ません」
体格のいいボーイは威嚇するかの用に睨みつける。
それもそのはずだ。
三人の格好は、街へ入ってから正体がバレないようにフードを被っていたからだ。
優一は懐から袋を取り出すと、ボーイに金貨を一枚渡す。
ボーイは金貨を受け取ると急に態度を変えて三人を受付へと案内する。
無事、ことなき終えた三人は二つ部屋借りて一息つくのであった。
三人は昼食の取るため、宿の食堂へと向かう。
さすが高いだけの事はあって、机や椅子に内装は豪華に出来ていた。
席に着きウェイターが水とメニュー表を渡してその場をさる。
メニューを決めていると、高そうな装備品をきた三人の男と一人の女が絡んできた。
「ここは一流の冒険者か金持ちしか泊まれないはずなのに、何故こんな所に小汚いフードを被った貧民がいるのだ」
「なんだ?お前たちも冒険者か?」
「どうせ、駆け出しの最弱冒険者だろ?」
優一たちは無視をしてメニューを眺めていると、男たちは苛立ち机を強く叩く。
「何とか言ったらどうだ!?」
優一はメニューを眺めながら適当に対応する。
「すまないが、何を食べようか必死に考えてるんだ。どっかいってくれないか?」
男はさらに苛立ち、優一の胸倉を掴み頭のローブをはねのける。
仲間の女性は嘲笑いながら手に持っている魔道具でティファリアに向ける。
魔道具から文字が浮かび上がる。
魔力100 攻撃力 200 耐久100 素早さ500
装備品 ただの布
属性 火
使用魔法 《フレアル》《グラビド》
「へぇ~~。この子素早さと使用魔法は中々のものだよ」
「素早さって。おいおい魔物から逃げ回る事しか出来ないじゃないか!」
男三人は大声で馬鹿笑いする。
「こっちのやつも測ってみてくれ。どんな面してんだ?」
女は、琴音にティファリアに使用した測定器を向ける。
そして、男は琴音の頭のローブをはねのける。
「おお!結構美人じゃないか!」
「なぁお嬢さん。こんなしけた面した男より、俺達と冒険しないか?」
男達が琴音をナンパしてると仲間の女が青ざめた顔をする。
魔力50000 攻撃力100000 耐久100000 素早さ150000
装備品 ただの布
属性 火
「ちょ・・・ちょっと」
「うるさいな!何だよ」
男達は測定機に投影された文字をみて驚く。
「そそそそんな馬鹿な!」
「化け物か!」
優一は冒険者たちを睨みつける。
四人組の冒険者は慌てて優一達から離れて宿を急いで出た。
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