21話 帰還

ミティシアの奥義が放たれ、大地には大きなクレーターが出来ていた。

大気中には草木が燃えた灰や粉塵が辺り一面に立ち上っていた。

とても生物が活動出来るとは思えないこの環境。

しかし、その場に一人の生物、いや魔王ロゼがミティシアの遺体と切り離された左手を抱えて立っていた。

「いや~~危なかった♡力を出し切らなかったら殺られていたわ♡」

魔王ロゼは、ミティシアが奥義が放ち辺りが吹き飛ぶ瞬間に、胸を貫き身体が消し飛ばないように回収していたのだ。

「これで・・・これで私は人類最強の力、いや・・神すらに匹敵する力が手に入るわ♡」

魔王ロゼは抱えたミティシアを見て、まるで好物な食べ物を見た時の用に、口からよだれを垂らす。

ロゼはその場から立ち去ろうと歩み出した瞬間、吐血する。

「さすが、魔王達に匹敵する力と言うべきね♡」

                    ▼▼▼

オールワールド、とある場所、辺りは霧に覆われ二つの天高く聳(そび)える塔、そしてその間に立つ城の門にミティシアが近づくと自動で扉が開く。

「おかえりなさいませ。ロゼ様」

出迎えたのはアティスであった。

「先に戻ったダルタニスが《神の結び》(トラピアント)の準備を終えました。ご案内します」

お城に入り木造りの廊下を歩いて行くと、地下へと続く隠し階段を下りた。

そこは、色々な書物や実験器具、様々な生物がホルマリン漬けにされていた。

「何度見てもこの他種族の液体付けの眺めは良いですね♡」

「ロゼ様、あちらです」

アティスが手を指す方向を見ると、そこには、宙に浮いた謎の緑濁色の球体があった。

「帰って来たな。この球体にロゼさんの手に入れたその女の一部を入れて、後は貴方が入れば《気魔(クラフト)》の力が手に入る」

ロゼは戦いで切り落としたミティシアの左腕を球体に投げ込む。

「後は私が入るだけね!」

ロゼはミティシアの遺体をダルタニスに渡す。

「この遺体を腐らないように液体付けにしといてね♡私が目覚めたら、たっぷり楽しむのだから♪」

そう言うとロゼは球体の中へと入った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る