第3話

 砂浜に向かうと一艘の丸木舟があった。

 これで行くらしい。

 長老と子供達に見送られ出発した。

 スリルが半端ない。救命胴衣なしで水面スレスレ、揺れるし、乗り降りの際が怖い。

 小高い丘を回り込み、高い木々が茂る森を過ぎると、ひとつの川を遡り始めた。


 やがて村があらわれた。

 見張り櫓のようなものまである、建物の数はざっと二十といったところ。船溜りに舟を乗り入れると、トオは俺たちが降りるのを手伝ってくれた。ひときわ大きな家に招き入れられると、かなりの時間待たされた。槍を持った兵士らしきもの十人、身なりがよい者が一人、そして着飾った者がひとり入ってきて腰掛けに座った。

 今回は、トオがほとんど喋った。俺と美琴を「カツラギ、ユキヒコ」「サノ、ミコト」と紹介し、いきさつを話してくれたようだ。

 なにを話しているのかさっぱり分からないが、なんとなく雰囲気はつかめる。

 この座っている偉いさんがミキキミというらしい。側に仕えるものがクコ。クコがトオが喋るのを遮ったり、がなりたてている。それをミキキミが諌める。そしてまたトオが話すと言った具合だ。なんだか校長と教頭みたいだ。トオは担任といった感じだろうか。

「店長とリーダーみたいだな」

 美琴が小声で話しかけてくる。同じようなことを考えていたんだと可笑しかったが、俺はお前のバイト先のことは知らねえよと思った。

「言語設定とかないのかよ。神様か管理者さんか知らねえけど、職務怠慢じゃなないの?」

 美琴の独り言にミキキミが反応した。


「アハ、ミキキミ、ナハ、ムヒコ」

「アマナトナス、ヒミコ、サノミコト」

「オオヤマツラギ、ユキヒコ、ヒコハ、ヒメメコ」


 言語設定はいる。

 まったく通じていないのを見て取ると、トオに確認しているようだが、トオも答えようがない。段々とクコの態度が杜撰になってきた。どうやら軽蔑し疑っているように感じられる。

 トオが飛行石を見せるように言ってくる。ミキキミがあらためている時、ちょうど光の加減なのだろう、飛行石に入った光が目を差したようだ。目を押さえている。

「まじかよ、ムヒコってムスカの間違いじゃないのか」

 そう言うと、自分に注目が集まったの確認した美琴は突然しゃべり始めた。

「アハ、佐野美琴、ムーの導きにてレイラインを支配する者なり。空から女の子が降ってくる展開を希望する。さもなくばインドラの矢でメガメガさせるぞ」

「美琴!」

 身振り手振りを加えた口上は、言葉は伝わらないものの、何かをしっかりと伝えたようで、ミキキミがおもむろに立ち上がり、自ら飛行石のペンダントを美琴に手渡した。ミキキミ自ら手渡すという行為に意味があったのだと思う、一気に場の空気が和んだ。

 どうやら客人として迎え入れられたようだった。


 その晩は宴と呼んで差し支えないものだった。

 驚いたのはフルーツと呼んで良さそうなものさえあったことだ。

 大変満足した。さっきの美琴の発言がフラグだったのか、ここからムフフイベント発生となるのだった。

 極端に近づいているその体からは良い匂いがするのだ。ずっとそうなのだが、男も女も老いも若きも多少臭う。体臭がするのが当たり前であった。しかし、いま目の前にいる女性は良い匂いがするのだ。髪は美しく梳かれ、艶かしく光っている。

 貫頭衣の側面からはふくよかな乳房が見えている。腰紐を解いているので、長い布切れが前後に垂れ下がっているだけだ。その薄衣の向こうは柔らかな肌が熱を帯びているのが見える。他の女たちよりも華奢で色も白い。俯き加減に微笑むと、服を脱がせてくる。もう上半身は裸にされてしまっている。

 部屋の中央では湯が沸いている、その中に杉だろうか、柔らかな葉のついた枝が束ねて入れてある。隅には寝台がこしらえてある。彼女はその枝の束を湯から引き抜くと、冷ますように二、三度振るとこちらに戻ってきた。

 歩くたびにチラリと見える素肌が情欲を掻き立てる。見えないようで一瞬見える。見えたかと思った刹那、また隠れてしまう。

 柔らかな葉先が首筋に触れる、ゆっくりと触れるか触れないかという加減で胸の方へと降りてきた。乳首の周りでやさしく円を描くと、脇腹をくすぐってくる。どうやらジーンズの脱がせ方がわからなかったらしく、自分で脱ぐように示してきた。どうすればよいのか躊躇っていると、彼女は枝が冷めてしまったのだろうもう一度湯の中に入れに戻った。

 結局、ジーンズは彼女がどうにか脱がせてくれた。すでに真っ裸である。脱がされた反動で揺れる一物が可笑しかったのか、彼女はちょっと笑った。今度は葉先をゆっくりと裏筋にあてて滑らせていく、触れるか触れないか、触れると電気が走ったように快感が駆け上ってくる。ヘソの周りから下腹部もゆっくりと撫で回してくる。すると急に一物が束の中に埋もれるように動かし、すこしづつ回転させ始めた。葉先がチクチクとあたりムズかゆい、湯の温かさと冷めた冷たさが混ざり合わさっている。上目遣いに微笑むと、枝の束を俺に手渡した。そしてそろりそろりと服をたくし上げていく。

 もうすでにギンギンに反り返っている。だがどうしたらいいのか分からない。なぜなら童貞なのだ。美琴はどうしているのだろうとふと思った。同じような格好の女性に、別の棟へと連れて行かれたが、これをしているのだろうか。美琴はうまくやっているのだろうか。あいつは経験があってもおかしくない、ただ俺はどうしてよいのか分からない。そもそも脱がせるあたりはスキップするし、それに脱がせた後どうするんだ。ベネッセは参考書を出すべきだと強く思う。出版社も教科書に映像付きで細かく要点を押さえて出版するべきだ。なんなら教習所もあったほうがいい、無免許イクない!

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