第6話 ドライアド
「おいっ、ラキナ!」
「なんじゃっ」
アルベルトは、群がってくる魑魅魍魎を斬りながら叫んだ。
「なんなんだよここは!」
「魔大陸じゃと・・・・言っておるじゃろうがっ」
確かにそれは聞いたけども・・・・・
「なんで、魔物の一体一体が太古の魔物なんだよー!!」
ああ〜!!と叫びながらアルベルトは、天之尾羽張で斬り伏せていた。
「しかし、お主も強くなったの〜」
「え、そう?」
「前回は、逃げ回ったと聞いておったが・・・・・」
「あ」
確かに、と納得した様子を見せると雰囲気が一変、
「ふふ、あははははははは!!」
突然笑い出し、笑顔で斬り始めた。
「おい、大丈夫か?」
ラキナは、突然の変わりように心配になった。
「大丈夫かだって!?」
ザシュッ、と一体の魔物を斬ったところで、手を止めた。
「大丈夫だよ。だって俺強いから」
そう言って高笑いをしながら、目に見える魔物を斬り伏せ続けた。
「あ〜、調子に乗せてしまった・・・・・」
こうなったアルベルトは止まらないことをエルフの森で思い知った。
「はぁはぁはぁ・・・・・・終わった・・・・」
「調子に乗り過ぎじゃ」
ラキナは、倒れ込むアルベルトの横に立つと呆れるように言った。
「でも、おかげで大量に魔石が手に入ったぞ・・・・・」
アルベルトの周りには、大量の太古の魔石が積み上がっていた。
「そうじゃが・・・・これをどうするのじゃ?」
こんな量の太古の魔石を売ってしまったりすれば、魔石の市場が大荒れし、普通の魔石が売れなくなるかもしれない。
そうなれば、アルベルトが構築した自動売却ができなくなってしまう。
「どうしようか・・・・・」
しばらく考え、いい案を思いついたのか、体を起こした。
「ガルムに装備でも作ろうかな」
頑張ってもらってるみたいだし。
それに、そろそろ増やしてもいいかもしれないな。
「ガルムとは、アル坊が言っておった協力者のことか?」
「ああ、そうだよ」
そうか、まだ面識が無かったっけ。
聖教国に行ったら、一度集まるか。
「なぁ、それよりも・・・・・」
「なんじゃ?」
「あれ何?」
アルベルトは、空を見上げながら言った。
「ああ、あれは、”浮遊城”じゃ」
「なんかあるの?」
浮遊城の名前の通りその城は浮かんで、少しづつ動いていた。
「妾にもわからん」
「え?」
開闢以来から生きているラキナにも知らないことがあるとは。
「あそこに行こうとしたものは大勢いた。妾もその一人じゃ」
「じゃあ、なんで知らないの?」
「入れんのじゃ。近づいた瞬間別の場所に転移させられるからの」
「何その、無敵感漂う城は」
「しかし、一つだけわかっていることがある」
「なに?」
ラキナは、こっちを向き、ニヤリと笑って
「あそこには、マル坊も辿り着けなかった」
「英雄が・・・・?」
世界を救った英雄が行けなかったのか・・・・・。
「ああ、おそらくあの城の周辺から別世界になっておるのじゃろう」
「別世界?」
「ああ、次元の歪みみたいなものを感じたからの」
別世界か・・・・・。三千世界を持っている俺なら行けそうだな。
しばらく、二人は浮遊城を見つめていた。
「行きたいな・・・・・」
「そうか」
◆◆
「誰だ!?」
「私ですよ〜、ガルム様」
ベルゼの元に居た女は、ガルムに親しそうに近寄った。
「なんだ、サナか」
「も〜なんですか?その普通の反応は、もうちょっと感動的な反応はないんですか?」
「感動もクソもあるか」
「え〜、せっかくのかわいい後輩との再会ですよ〜?」
「・・・・・・・」
「ちょっと!なんか言ってくださいよ!」
「それで、ベルゼはどうなった?」
サナの文句を無視して、知りたいことを聞いた。
「はぁ・・・・・。死にましたよ、あの人は」
「そうか、さすが旦那だな」
「そうそう!あの少年何者なんですか!?」
「今の主人だよ」
「え、ガルム様の!?」
「そう言ってるだろうが」
「それより、旦那はどこに行った?ここには、向かってきてるのか?」
「いえ、
「魔大陸にか?」
「はい」
「マジかよ・・・・・」
まぁ、大丈夫だろうが。
「そうだ、お前。旦那の元にこねぇか?」
「あの少年の元に?」
「ああ、そうでなくても俺の元に来て、旦那のために仕事するのはどうだ?」
「いいですよ」
「・・・・・・意外だな。もう少し迷うかと思ったんだが」
「まぁ、私たちみたいな表に出られない人間は、絶対的な強者に使えるのが生きやすいですからね」
「だな・・・・・。それは間違いない」
アルベルトにもらった腕輪を見ながら肯定した。
「そういうことなら、今度紹介するぞ」
「はい」
◆◆
「お、ここか」
「そうみたいじゃな」
ポータルを置きながら、しばらく歩いたところで遺跡もとい祠を見つけた。
「さっさと入るか」
「そうじゃな」
二人は、遺物の欠片を手に入れるため、祠に入って行った。
祠に入ると、そこに広がっていたのは・・・・・
「森林?」
「すごいなこれは・・・・・」
ラキナも感心していた。
なんで、祠の中が森林なんだ?
これも魔法の力なのか?
だがこれを魔法と呼ぶのなら、天地創造レベルだ。
「誰が、こんな・・・・・」
「あなた方は?」
森林に驚いていると、突然話しかけられた。
「エルフ?」
「いや、此奴は・・・・・ドライアドじゃ」
「如何にも、私は、この森の守護者であるドライアドです」
「「ああ〜!!」」
突然、目からあの二人が飛び出してきた。
「うおっ!」
突然のことに声を出した。
「な、なんで・・・・・・」
「「久しぶり〜」」
「知り合いなの?」
この二人のことは、全くわからない。
「「私たちの
・・・・・・・・・・・・・。
「「え!?」」
ラキナまでもが驚いた。
「なんでラキナまで?」
「なんでって、ドライアドの生みの親といえばこの世界に最初に生まれた、アダム様とハナ様だぞ」
呆れられた顔を向けられながら教えてもらった。
「アダムとハナっていうの?」
「「そうだよ?」」
言ってなかったっけ〜?と目の前を飛び回っていた。
「お久しぶりです。お父様、お母様」
「「うん、久しぶり」」
お、なんか親の顔になった。
普段の顔からは、想像できないな。
「そ、それよりも、二人が付いてきてるというとこの子が・・・・」
「「そうだよ」」
俺がなんなのだろうか。
まぁ、教えてくれなさそうだけど。
「そう言うことなら問題ありませんね」
「なにがですか?」
「遺物のことですよ。マルスに頼まれて守っていたのですが・・・・・」
「じゃあ」
「ええ、これから案内しますよ」
「やったなラキナ。楽に終わりそうだな」
「・・・・・そうだな・・・・・」
なにを考えてんだ?
似合わないよ、と言ったらぶん殴られた。
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