第4話 虚無
アルベルトに暴食の拳が迫る。
「・・・・・・・・・!!」
身体を捩りなんとか避ける。
ドォォォォォォォォォォン!!
まじかよ。
拳圧だけで壁が抉れてる・・・・・。
あんなのくらったら俺の体なんて・・・・・。
そう考えるだけでゾッとする。
「おお、よく避けたな」
暴食から褒められた。
「どうも・・・・・」
こちとら冷や汗が止まんねぇっての。
天之尾羽張を出現させ、暴食を斬ろうとする。
「お、その刀はやばいな」
余裕そうに交わし、距離をとった。
「龍装拳」
ラキナが、腕を龍の腕に変え暴食に迫る。
「ふんっ」
暴食もラキナの腕に対抗するために腕を突き出す。
凄まじい突風が巻き起こる。
「・・・・・・!!」
すげぇ、拳がぶつかっただけで、この衝撃・・・・!!
風が収まり、目を開けて驚愕した。
拳が当たってない!?
二人の拳の間には、魔力と空気の衝突で、稲妻が走っていた。
ラキナと暴食は、久しぶりの強敵同士なのか、楽しそうだった。
ベルゼさん、申し訳ない。
この無視される感は、半端じゃなくイラッとくるな。
「無視すんな!!」
暴食に近づき、刀を振るう。
ザシュッ!!
「お?」
予想外だった。暴食の体が少しだが斬れた。
「・・・・・・・・。なるほど・・・・神殺しか」
暴食は、ラキナとの衝突を終わらせ、こちらを向いた。
「神殺しだとお前を斬れるのか?」
「そうだな。俺は、神崩れだ」
「は!?」
神崩れって、元は神ってことか?
大罪が元神?
「・・・・・・どういうことだ?」
「俺に勝てたら教えてやるよ」
「ああ、そうかよ!!」
居合の連撃を放ち暴食に迫る。
「なにやってる?全く当たってないぞ」
「いいんだよこれで」
ある程度した後で、刀を完全には納めないように鞘に戻す。
「あ?」
暴食が、わけがわからないというばかりに声を出す。
「・・・・こいよ」
「アル坊!?」
挑発する俺を、ラキナが心配している。
「ならお望み通り・・・・」
ドンッという音とともに目の前にきた。
その瞬間に転移で後ろに下がり・・・・・・
キィイン・・・・・
鞘を治めた。
その瞬間、先程まで刀を降った場所に魔力でできた斬撃が、暴食を襲った。
魔力は、俺に近ければ近いほど感知されにくいため、ギリギリまで離れられなかった。
「ガァ!!」
暴食が初めて、膝をつく。
「アル坊、今のは・・・・・」
「あれは、魔力の斬撃の設置だよ」
膝をつく暴食を見て、ラキナも驚いていた。
神殺しは、魔力で設置したものにも効力が現れるのか。
「あ〜、ここまでは流石に初めてだぜ」
暴食は、血だらけの体を気にすることなく立ち上がる。
効いてないのか?
「大丈夫だぜ?ちゃんと効いてるよ」
「!?」
暴食が目の前にいた。
ボコッ!!
殴られて出るような音ではないような音が、腹から聞こえた。
「うぐっ・・・・・・」
胃液を出しながら、アルベルトは、その場に蹲る。
「くそっ」
ラキナは、四肢を龍化させ、暴食と殴り合う。
その一撃一撃が、凄まじく体に、拳にぶつかるたびに衝撃波が生じる。
「はっはっは!!」
「どうしたのじゃいきなり」
「いや、なに、こんな高揚感は神話の戦争以来だな!!」
「お前、あの時代から生きて?」
ラキナは、天地開闢以来、最大の戦争。
神を巻き込み、世界が構築され直した戦争。
「俺は、大罪の7人の中で、最初に作られた神格を持つスキルだぞ?」
神格を持つスキル。
その言葉を聞いて蹲っていたアルベルトは、よろよろと立ち上がった。
「スキルを作ったのは、ソロモンじゃ・・・・・」
「ああ、あの小僧か。あれは、ただ神以外にシステムを定着させただけだ」
「神以外に?」
ラキナを見てみたが、彼女も初耳だったようだ。
「おい、無駄話しすぎだぞ、お前ら」
暴食が、文句を言う。
「お前もだよ」
3人は、再びぶつかりあった。
◆◆
「ここが、聖教国・・・・」
アイナが、目の前の光り輝いて見える都市を見て、声を漏らした。
「すごいね」
「そうだな」
3人は、白のローブを身に纏い、聖教国に入っていった。
「とりあえず、宿見つけない?」
アリスが提案をする。
「そうだね」
「なら、あそこはどうだ?」
セナがちょうど見つけたのか、宿の看板をかけた建物を指した。
3人は、宿に入り、6人は入れるこの宿で最高の部屋を取った。
お金は、自動的に増えていっているので、全く心配していない。
「こういうのを気にせずにできると思うと、不労ってすごいわね」
アイナが、感心したように部屋を眺めながら言う。
「そうだねぇ」
アリスは、これまで散々聞かされてきたのだろう。
無表情だった。
「アルたちは、大丈夫だろうか」
セナは、今はいないアルベルトのことを心配した。
◆◆
「ラキナ、いけるか・・・・」
「・・・・・・・ああ」
二人は息も絶え絶えに確認した。
暴食もあれから何度か傷を負い、息を切らしていた。
「ああ、いい。こんなにも死を近くに感じるなんて・・・・」
変態かコイツ。と思った。
「いくぞ、ラキナ!!」
「ああ!!」
アルベルトは正面から、ラキナは背後に回った。
刀を振り、暴食をその場に留める。
暴食がその斬撃を交わしながら、ラキナを見た。
いまだ!!
アルベルトは、天之尾羽張を転移させ、暴食の背中に刃を向ける形で出現させた。
「これでどうじゃ!!」
ラキナは、刀を
「くそっ」
暴食は、焦り背中に魔力を集中させた。
その瞬間を見量って、刀を消した。
「!?」
暴食が身体を強張らせた瞬間、二人は、前後から挟むように暴食に手を当てた。
「「
二人の手の間に、黒い玉が現れ暴食を飲み込もうと廻転し始めた。
「な、これは、まさか!?」
「見覚えあるか?」
ラキナは、ニヤリと笑い問いかける。
「お前、これを教えるとどうなるかわかってんのか!?」
「いいさ。どうせ、いずれ戦う運命だ」
「・・・・・・・・」
アルベルトは、無言でやりとりを見ていた。
ほとんどが飲み込まれた暴食がアルベルトに忠告する。
「神には気をつけろ。奴らは・・・・・・」
バシュッ!
そんな音を残して消えていった。
「ふぅ。やったなアル坊」
「・・・・・ああ」
”神に気をつけろ”か・・・・・。
取りに行くか。
アルベルトは、台座に近づき、遺物を手に取った。
「!?」
その瞬間、意識を失った。
「ここどこだ?」
目の前には、草原が広がっていた。
そして、その先にある都市は・・・・・・
「王都?」
なんでここに王都が、それになんかちょっと違うような。
「あー!」
女の子の声が聞こえた。
声のする方に顔を向けると、そこにいたのは・・・・・
白髪の女の子だった。
誰だ?
でも、雰囲気はアリスに・・・・・・。
「もう、マルスはすぐどっか行くんだから」
”マルス”確かにそういった。
「え、マルス?」
マルスと呼ばれ戸惑っていると
「大丈夫?」
と顔を覗き込まれた。
「え、ああ」
「おじさんたちが呼んでたよ」
早く行こ!と元気に歩き出した。
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