第15話 開戦

「ねぇアル、あそこ・・・」

「ん?」

アイナ様が指差すその先には一振りの剣が台座に刺さっていた。


「剣?」

「なんでこんなところに?」

アルベルトは、世界眼で視てみた。


=太古の英雄の剣=

太古の英雄が振るった剣。精霊を宿していたが、現在は力を失っている。

所有者を選ぶ。


試しに魔力を流してみる。


・・・・・・・・・・・。


なんにも反応しなかった。


アイナ様にも試してもらったが同じだった。

「私たちじゃないようね」

「ですね」


アリスとかが反応しそうだな。

演習が終わったら試してもらうか。

アリスといえば、いまどうなってるかな。



◇アルベルトがサタナキアを倒した頃◇


アリスとダイスは話すことなく、とにかく進んでいた。


「・・・・・・・・・」

アルくん、今どうしてるのかな〜。

アリスは、ダイスのことなど眼中にはなくアルベルトのことばかり考えていた。


その時、アリスは突然止まった。

「おい、どうした」

「・・・・・・・・」

「おいっ!聞いてるのか!」

「だまって・・・・・」

「なんだっ・・・・と」

アリスは、無言で剣を突きつけた。


「だまって」

「・・・・・・す、すまん」

アリスの視線の先には、大量の魔物が列をなし、アリスたちの目的の方角に向かっていた。

アリスは、目の前に広がる魔物の大群を蹴散らすために飛び出そうとした。


「ま、待てっ!」

「なに?」

「なにをするつもりだっ」

「え、斬る」

アリスはいつもやってきたことのように答えた。


「お前のような小娘ができるわけがないだろう。それにお前はCクラスだろ!」

「それが?」

「Sクラスの俺でもなにもできないのにお前なんかが言ったところで死ぬだけだろうがっ」

アリスはこの言葉に対して、一言、


「くだらない」

そう言って、魔物の大群に突っ込んだ。



一方、アルカとマイナの二人は、何事もなく学校に戻ってきていた。


「簡単だったわね・・・・・」

「そ、そうですね。マイナさんのおかげですね」

二人は、マイナが記憶している道をたどってきただけなのですぐに試験を終えることができた。


(でも、簡単すぎた。あまりにも魔物がいなかった)

あの森は、中心に近づけば近づくほど強力なステイタスを持つ魔物が増えてくる。

そのため、浅いところではステイタスを持つような魔物は基本現れない。

去年は、一体一体はそこまで強くなかったが魔物はそれなりに出てきた。


一体なにが・・・・・

その瞬間、王都の上空に大きな魔法陣が現れた。


王都にいる人が空を見上げる。

いつもは澄み切った青が見えるはずの王国の空には、赤い魔法陣が広がっていた。

その魔法陣から、一つの光が落ちてきた。


その光から出てきたのは・・・・・・

「久しぶりの外だな〜、300年ぶりぐらいかな〜」

そういった彼に向かって、一人のエルフが斬りかかった。


「おっとっと・・・・」

なんなくかわし、エルフと向かい合った。

「おや、おやおやおや?」

「なぜお前がここにいる・・・・マモン!」

「やはり、あの時のエルフですか〜。ん〜、でもハイエルフになってるみたいですね〜」


エリスは、目の前の悪魔を見て歯軋りが止まらなかった。

「なぜ・・・・なぜ、お前が生きている!お前はあの時、核を破壊したはずだ!」

「破壊されましたよ〜。おかげで一度死にましたよ〜」

「だが、お前は生きている・・・・・」


「あのお方に新たな生を頂いたのですよ。魂を新たな核に入れることで私の人格や記憶はそのまま。新しい命をもらったのだ」

まさに、神の御技ですよ。と両手を広げ語る。


「では早速、ここにきた目的を果たしましょうか」

”堕天使降臨”

マモンがそう言った瞬間、空に巨大な門が現れ、そこから天使が舞い降りてきた。

「みなさん、この国を蹂躙してください」

天使は、その指示に従い進軍した。


「騎士団よ!国民の命を最優先に、この国を守りきれ!」

「「「「了解!!」」」」

天使とアルベルトによって強化された騎士団が衝突した。


「お前の相手は私だ。マモン!」

「ふふ。あの時の続きというわけですか、いいですよ。また可愛がってあげましょう〜」

二人は合図もなく衝突した。



◆◆


アリスは、目の前にいた魔物は全て蹂躙した。

ダイスはすでにどこかに逃げており、どこにいるかは興味がなかった。

アリスが、王国に戻ろうと足を進めた時、突然の攻撃に躱すことができず、剣で受けたがそのまま吹き飛ばされた。


「がはっ!」

アリスは、木を何本も倒しながら、岩の壁に激突した。

血反吐を吐きながら、自分を吹き飛ばした相手を確認した。

「だ・・・・れ・・・・」


「俺か?」

男は、天使のような姿をしているが、その翼は黒かった。

「俺は、ベリアル。八柱の中でも上位の存在だ」


「八柱・・・・?」

「その強さを持ちながら俺たちを知らないのか」


「し・・・ら・・・ない」

「ん、でもしょうがないな。あれから300年ぐらいだもんな」


「あっちは、あいつが行ってるし、しばらく遊ぶか」

「なに・・・を・・・」

アリスはまだダメージが回復し切ってなかった。


「かかってこい小娘、俺を楽しませろ」

アリスは、ベリアルを視た。


『名前』 ベリアル

『種族』堕天使 『性別』男 『年齢』ー

『レベル』 ー

『能力』SS

『称号』 四騎士 超越者 堕天使 


『ユニークスキル』

天軍召喚 魔力掌握 混沌魔法 


『原初』

神格降ろし


『加護』

・・・・の加護


『天軍召喚』 天への門を開き天使を召喚する。


『混沌魔法』 闇魔法の行き着く先。


『神格降ろし』 少しの間神格を得ることができる。


「視たか?」

「・・・・・・・・・」

アリスは師匠に言われた言葉を思い出していた。



◇訓練時◇


「いいかアリス」

「はい、師匠」

「お前はつよい。超越者ではないが剣だけでいえば私よりも強い」

「・・・・・・・・」

アリスは、肯定も否定もしなかった。


「だが、お前は超越者ではない。試練を乗り越えたものとそうでないものでは、一つ次元が違ってくる。アルベルトや私と一緒ではない時は・・・・・」

”逃げろ”


◇現在◇


逃げる?

どこに?


アリスは逃げることも考えた。

しかし、世界のシステムはそう甘くなかった。


「試練を開始します。ご武運を」


アリスの試練が始まった。



◆◆



王都上空に魔法陣が生まれた頃、洞窟を出たアルベルトとアイナは・・・・・


「ここどこ?」

「?」

一度、経験したような体験を再びしていた。


二人は、広大な大地に立っていた。






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