第13話 八柱

「ここどこ?」

「洞窟?」

転移は、森の中じゃなかったのか?


ペアとなったアルベルトとアイナは、森の中ではなく洞窟へと転移した。


「これはどういうこと?」

アイナ様が聞いてくる。


「う〜ん・・・・・」

ガルムの件と言い、今回の事といい、なんかよく狙われる気がする。

しかし、アイナ様の件も同じやつの仕業だとすれば、裏にいるのは・・・・・

「悪魔か」


「アル?」

「とりあえず進みましょうか」

ここに止まっても意味がない、先に進もう。



◆◆


〜アリスとダイス〜


「俺のペアは君か」

「うん。よろしく」

アリスは目も合わせずに返事をした。


「ふんっ、礼儀のなってない平民が」

「・・・・・・・・」


「とりあえず俺の足だけは引っ張るなよ」

「・・・・・・・・」

アリスは無視し続けた。


「ちっ、いくぞ」

「・・・・・・・・」

二人は、会話が続かないまま元いた場所へ向け歩みを進めた。


「そっち、逆」

「わ、わかってるよ!」

ダイスは、変な奴なのか、それとも・・・・


(アルくん、どこにいるのかな・・・・・)


◆◆


〜アルカとマイナ〜


「あら、私のペアはあなたね、アルカさん」

「よ、よろしくお願いします・・・・」

アルカは、持ち前の年上に対する人見知りを発動させていた。


「大丈夫よ、私たちは一度経験してるから」

「は、はい」

的外れな心配をしていたが、何事もなく演習を終えられそうだ。


「あの二人は無事かしらね・・・・・」


◆◆



「ねぇ、アル、あれって扉?」

「みたいですね・・・・」

あれはなんか嫌な予感がする。


アイナ様が手を掴んできた。

手は震えていて、心情がよくわかる。

「大丈夫ですよ、アイナ様」

手を握り返すと少しは安心したのか強く握ってきた。


「行ってみましょうか」

「え、いくの?」

え、その心の準備のために手を握ったんじゃないの?


「はい、このままここにいても何にも始まりませんし。ここがどこなのかもわかりません」

「そ、そうよね」

まだ不安なのか。


「それに何があっても大丈夫ですよ。そのイヤリングもありますし、俺もいますから」

「・・・・・・!!そうね」

そういうとアイナ様は手を離し覚悟を決めたようだ。


「では・・・・・・」

アルベルトたちは扉の前まで行き、扉に手をかけた。

「開けますよ。せーの」


ギィィィィィィ・・・・・


扉を開けた先には、空間が広がっていた。


「ここは・・・・・」

「これってまさか・・・・」

アイナ様はこの空間を見て何か思い当たるところがあるみたいだ。


「何か知っているのですか?」

「ええ、おそらくここは300年以上前から存在し、英雄によって世界が救われた後、使われることはなかった祭壇よ」

祭壇か・・・・、ならあの椅子に座ってるのは・・・・


「よく来たな小僧ども」

目の前の椅子に座っていたやつが話しかけてきた。

「あ、悪魔・・・・・」

アイナ様は、そいつを見て怯えていた。


「よく来たなって、ここに連れてくるようにしたのはあんたらだろ?」

「そうだ。人間の協力者に目障りな人間がいると聞いてな」

協力者ねぇ


「その協力者っていうのは、アイナ様に悪魔を植え付けるよう仕向けたやつか?」

「え?」

アイナ様は、突然の衝撃に困惑していた。


「アルどういうこと?」

「アイナ様が取り憑かれた日の前の日、パーティがあったとおっしゃってたじゃないですか」

「うん」

「おそらくその日、参加者の誰かが、悪魔の核を仕込んだのでしょう」

授業で、悪魔は核さえあれば復活すると習った。

しかし、復活しても力までは残らず、何かに取り憑くか、身を隠し力が戻るまで待つしかない。


「つまり私は・・・・・」

「ええ、悪魔の依代にされたってことです」

「そんな・・・・」


当時の話を聞く限り、エリスが悪魔を切った後、その場にいて最も若く、未熟な精神を持つ器はアイナ様しかいなかった。

「ほう、そこまで気づいたか。大した小僧だ」


「だが、そこまで気づいたところで何もできんだろう?」

「いや、すでに手は打ってあるよ」

「何・・・・・?」

協力者が誰かは、ガルムの件で大体わかった。

あとは、合図をすれば、そいつの命は終わる。

でもその前に・・・・・


「お前を殺せば解決するだろ?」

「ふっ、調子に乗るな小僧。魔素も十分に使えないやつが私に勝とうなど・・・・」

ん?

何を言ってるんだこいつは・・・・・魔素?

ああ、なるほど!


「ア、アルベルトはあんたなんか相手じゃないわ!」

今まで口を閉じていたアイナ様が挑発するように言った。


「ほう、小娘が言ってくれるではないか」

「なら試してみるか?」

アルベルトは、腰にかけている支給された剣を構え、挑発した。


「いいだろう。あの方に仕えてきた八柱の一人として、お前を殺す」

八柱?それにあの方って、こいつを倒してもまだ上がいるのか・・・・

めんどくさいな。


「私の名は、サタナキア。あの方に支える八柱の一人だ」

「俺はアルベルト。人間だ」

サタナキア、確か精霊を使う悪魔だったよな。それに女性を操るとか・・・・・

あのイヤリングがあるし大丈夫か。


二人は同時に動いた。

サタナキアは魔法書を片手に、魔力で剣を作り攻撃してくる。

アルベルトは、最近練習している”気”を剣に纏わせ、なんなく対応する。


「ほう、なかなかやるではないか」

「まぁね」

超越者として戦えばすぐに終わるが、こんないい実戦はなかなかない。


「ならばこれはどうだ。混合魔法:隕石落としメテオフォール

すると、サタナキアの頭上に魔法陣が生まれ、そこから大量の隕石が降ってきた。


「あ〜、よし。やってみるか」

アルベルトは、剣に纏わせた”気”を高め、居合の構えを取り、横雲の容量で隕石に向かって振った。

「お、うまくいったな」


「何!?」

隕石を全て切られ、消失させられたことに驚いていた。


「小僧、貴様、”気”の使い手か!?」

「お、わかる?」

使い手と解らせたら、一人前。

そうガルムに教わった。


この場に一人だけ、この戦いを私物化しているアルベルトがいた。



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