第5話 王城と騎士団の恐怖
よろしくな、後輩と勇者よ。
アリスのステイタスも見られていたようだ。それなら手間が省けた。
「エリスさんにお願いがあります」
「ほう、お願い?」
彼女の強さと剣を見たときから頼みたいことがあった。
「アリスに剣を教えていただけませんか?」
「そこの勇者に?」
勇者として、聖剣など一撃での火力は既に最強クラスだが、スキルなしでの駆け引きはまだまだ未熟だ。
それゆえに、彼女に鍛えてもらいたいのだ。
「超越者であるお前が鍛えれば良かろう?」
「俺はアリスの剣とは型が全く違いますから・・・・・」
「なるほど・・・・・」
少し考える素振りをし
「いいだろう。アリスとやら私の弟子になれ」
「いいの?」
アリスは自分の未熟さを自覚していたようで本当にいいのかと尋ねる。
「ああ、お前が望むなら」
「よろしくお願いします」
アリスは、頭を下げ、弟子入りを志願した。
「よし、ではこの後王城に来い。話しは通しておく」
「え、王城に?」
「ああ、私は騎士団長だからな王城にいるんだ」
なるほど。王族を守るのが仕事ってわけね。
「わかりました。後で伺います」
「ああ。ではな」
エリスと別れ試験場を後にした。
ん、あそこにいるのは?
「お、アルカじゃん。何してんの?」
「アルカ〜!」
アルカは二人に気付き振り向いた。
「あ、やっときた。待ってたんだよ〜」
「待ってた?」
なんか約束してたっけ・・・・・・
ケモ耳少女との約束は忘れるわけがないんだが。
「アリスちゃんとね、終わった後ご飯でも食べに行こうって約束してたんだ」
アリスが俺以外と約束してるっ、しかも普通の女の子らしい約束を・・・・・
初めて会ったときに見たアリスからは想像が付かない。
本当は、着いて行きたかったがやりたいことがあったため二人で行ってもらった。
「アルカ頼んだぞ」
「・・・・・?」
「アリス、後でな」
「うん、行ってくる」
何を?といいたそうな顔のアルカがいるが明言せず、二人と別れた。
二人と別れたアルベルトは宿に戻り、アイテムボックスからある本を取り出した。
『英雄の真実』。アリスには、別の本に見えるようで気になって仕方がなかった。
シルビア・アインツベルンか、ファミリーネームからしてエリスさんと関係があるのだろう。
シルビアさんもエルフならまだ生きているはずだ。この本についていつか聞いてみたい。
「とりあえず読むか・・・・・」
”のちに英雄と呼ばれることになるマルスには、一人の子供がいた。しかし、マルスは決して母親が誰なのか教えることはなかった。私は、彼の死に際に立ち会うことができた。彼は、最後にこう言い残した。「いつか僕の息子が訪ねてきたらこう伝えてくれ、『罪を追い続けろ。そうすればいつかたどり着く』って」。この本を手に取った者にお願いがある、私の元に来て欲しい。精霊卿で待っている。そこで300年前の真実を伝えたい”
一部だけだが、内容が濃すぎて読むのを止めた。
「300年前って、そんな前の人なのか」
しかも精霊卿か、エリスさんに聞いてみた方が早いな。
本を読むのをやめ、アルカに渡す渡すブレスレットを作ることにした。
ペンダントは、家族とアリスにしか渡さないと決めたため、ブレスレットにした。
設置する魔法は、神速の魔弾だけだが、先日の試験やどこぞの貴族様をみているとこれだけで十分な気がする。
アリスのペンダントには過剰に設置してあるが、今後も増えるかもしれない。
我ながら過保護すぎる。
しばらくするとアリスとアルカが宿に来た。アルカは近くに家があるらしく途中まで一緒に来たらしい。
「おかえり」
「ただいま〜」
アリスを見る限り楽しんできたようだ。
「そうだ、アルカ。これやるよ」
アルカに先程作ったブレスレットをあげた。
「これは?」
「俺が作った魔道具だ。身を守る助けになる」
「え、魔道具!?作れるの!?」
「そんなに珍しいのか?」
「技師はいるにはいるんだけど大体が王家や貴族のお抱えだから」
魔道具が作れることも隠した方が良さそうだな・・・・・
働くことになってしまいそうだ。
「身につけて魔力を流してみてくれ」
アルカに魔力を流してもらい彼女の魔力を設置する。これで自動レベリングシステムの完成だ。
「このことは誰にも話さないでくれ」
「え、なんで?お抱えになればお金もいっぱいもらえるよ?」
「いやお金には困ってないし、何より働きたくないんだ」
「変わってるね」
いいじゃないか・・・・・・
二人は、アルカと別れ、王城に行く準備をした。
準備を終え王城の前に着き、門番に名前とエリスさんと約束していることを伝えるとすんなり通してくれた。
さすがは騎士団長、信頼度が高すぎる。
中に入ると騎士団の団員だろうか鎧をきた人が案内をしてくれ、エリスさんの元へと連れて行かれた。
「お、やっときたか」
そういうエリスさんの周りには多くの騎士の屍が転がっていた。
え、殺人現場は王城?
案内をしてくれた騎士を見るとガチャガチャと鎧がなるほど震えていた。
「ああ、これか。少し厳しめの訓練をしていたんだ」
すると案内役の騎士が呼ばれ同じように屍の山にの一部になっていた。
こ、こえ〜。こら、アリスさんや目を輝かせるんじゃありません。
お父さん許しませんよ?
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