第6話 模擬戦と国王
騎士たちが倒れ伏した後、エリスさんはアリスに模擬戦をやろうと提案した。
お互いの実力を知っておきたいそうだ。
「お願いします!」
アリスは、うずうずしながら承諾した。やはりアリスは、戦闘き・・・・・いや、信じない、信じないぞ!
アルベルトは離れたところから見学することにした。
超越者であるエリスさんに今のアリスがどれだけ通用するのかみてみたい。
「行きます!」
アリスからしかけた。アリスは、模擬剣を横なぎに放った。エリスは、模擬剣で受け止め回し蹴りを出した。アリスは、ギリギリでかわし反撃を図ったがエリスの猛攻が始まった。
おそらく霊剣だろう、全く見えない。世界眼を使えば見えるが模擬戦にそこまですることはないので普通に見学している。
しかし、アリスもすごい超越者と剣技だけとはいえほぼ互角だ。剣戟の音がすごかったのだろう、騎士たちが目覚め模擬戦を見ていた。
「おい、すげぇな」
「ああ、あの団長にあそこまでついていけるとは」
ふふん、そうだろそうだろ。だが、騎士団にはやらんぞ。
互角に見えた模擬戦もそう長くは続かなかった。体力の違いもあるだろうが、アリスの剣が追いつかなくなってきた。
そしてついに決着がついた。
「はぁ、はぁ、はあ・・・・・・・・」
「ふぅ、さすがだな」
エリスさんも勇者を相手にしたのでそれなりに息を切らしていた。
「エリスさん、アリスはどうでした?」
「エリスでいい。お前は、私と同じだろう」
そう言ってエリスは続けた。
「そうだな、剣だけしか見てないが、それだけでも世界の上位者に入るだろう」
剣だけでそれなのに勇者なのだ。やはりすごい。
「すごいな、アリス」
「ありがと。でも、全く敵わなかった」
「え、でもあの見えない剣を察知してたじゃないか」
アルベルトのその言葉にエリスが反応した。
「ん、霊剣のことか?」
「ええ、使ってましたよね?」
「いや、今回は剣技だけしか使ってないぞ」
は?
いやいやいやいや、全く見えなかったぞ?
あの剣技に霊剣が加わるのか、勝てないなこれは。
「それよりも、お前たちに会いたいという方がいるのだが時間は大丈夫か?」
会いたい
なんか確実に分かった気がする。
「はい。大丈夫です」
「私も大丈夫です」
「良かった。なら行こうか」
騎士たちに挨拶をしその場から離れた。
エリスに着いていくと確実に王城の奥に進んでいた。
そして着いた先は・・・・・・・
「ここは現国王の執務室だ」
やっぱり・・・・・
「今日は公式の場合ではないからな、そう畏まることはない」
「無茶を言いますね」
そう言っているうちにエリスは扉をノックしていた。
「陛下、エリスです。例の二人を連れてきました」
「入れ」
返事を聞き3人は部屋に入っていった。
部屋の中には、国王と王妃であろう女性と、その女性にそっくりな娘が一人いた。
「君がアルベルトか」
「はい」
「そしてそっちがアリスだな」
「はい」
「私は現国王、アレク・フォン・シュトベルトだ」
「私は妻のハンナよ。で、この子が・・・・・」
「アイナよ。よろしく」
「「よろしくお願いします」」
自己紹介も終わったところで、、気になっている事を聞いた。
「あの聞いてもいいですか?」
アルベルトの問いに国王はなんでも聞いてくれと答えた。
「アイナ様のお体は治らないのですか?」
その言葉に国王はもちろん王妃やエリスまで反応した。
「なぜわかる?」
国王が威圧しながら聞いてくる。アイナ様は、俯いている。
エリス様に視線をやり頷いたので理由を話した。
「私は、エリスと同じ超越者です」
「それはまことか?」
国王はエリスに真偽を聞いた。
エリスが頷いたのをみて、真実だと判断した。
「そうだな。エリスが連れてきたぐらいだ。何かあるのかと思っていたが、超越者とはな」
そこでアリスにも目を向けた。
「私は、勇者ですが、試練を与えられているものです」
「なんと!?勇者か!」
「でもあなた、勇者候補として『ユリス・ロンド』さんがいたのでは?」
「う〜ん、だが勇者は一人とは限らんからな。あの時代も数人いたようだし」
そこで、国王は決心したのか娘のことについて話し始めた。
「あれは、五年前、ある夜に一体の悪魔が城に降りたったのだ。その悪魔は、エリスがなんなく討伐したが、奴はあろうことかそばで寝ていたアイナに巣喰い、呪いをかけ続けているのだ」
「呪いを?」
「ああ、国中の専門家や医者に診てもらったが持ってあと数年だと言われた。年々症状はひどくなり夜には眠れないほどの激痛が走るそうだ。回復魔法をかけ続けることでなんとか耐えているが、その場しのぎにしかなってないのが現状だ」
呪いか・・・・世界眼で見れんのかな?
そう思い視てみると、アイナ様の精神に黒いモヤのようなものが見える。
ん?あれって魔石か?
だが、アイナ様とは切り離されているところを見ると・・・・・
なるほど。
「陛下、私が治せるといえば信じてもらえますか?」
その言葉に、王家のみんなにエリスも目を見開いた。
特にアイナ様の目は、信じられないようなものを見る目をしていた。
「出来るのか・・・・・?」
「はい」
そう答えると国王は涙を流し、
「頼む」と言った。
「わかりました。必ず」
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