第2話 初依頼と黒赤
不労の力を改めて実感したあと、お金は身分証についている口座に入れた。
「宿でも探すか」
「そうだね」
宿を探そうとしたとき
「お、お待ちください!!」
商業ギルドの職員が追いかけてきた。
「あのっ、先程の量の魔石を定期的に下すことは可能でしょうか?」
「定期的に?」
「は、はい。最近魔石を大量に買い取る方がいらっしゃって困ってたところに・・・・・」
「僕たちが来たと」
「はい。それで可能でしょうか・・・・・」
これは、いい。最高の話だ。しかし・・・・・
「卸し方は、なんでもよろしいですか?」
「はい。どなたが来ていただいても構いません」
なら、あの手が使える。
アルベルトは、マジックバックを新たに作り、時空掌握であの森に設置したポータルと繋ぎ、職員に渡した。
「これは?」
「マジックバックです」
「これが何か・・・・・」
「しばらくしたら中身を出して見てください。お金は先程の口座にお願いします」
「はぁ、わかりました」
そこで職員と別れ、宿探しを再開した。
ふふっ、やってしまった。偶然の産物だがこれはやってしまった。
これで、自動でお金が入ってくる。大金ではないが、永遠にお金が入り続ける。
「ふふっ、ふふふふふふふ・・・・・」
またも笑い始めたアルベルトをアリスはいつものように心配していた。
無事に宿を取り、今日は休むことにした。
村を出てからというもの森を歩き続けここまで来た。
森でも休むことはあったが、ちゃんとした寝床は久しぶりだ。
バフっ!!
ふたりは、ベッドを見た瞬間飛び込んだ。
「「あ〜、さいこ〜」」
いくら強いとはいえ二人は子供なのだ。精神的に安心できるところは必要だ。
「いつか家でも買うか」
「そうだね・・・・・」
二人のね。
アリスが言った言葉にアルベルトは、顔を赤らめた。今更初々しいやつである。
その日は、二人して気絶したかのように眠った。
二人が宿に入り、眠りについた頃。
二人を見ている存在があった。。アルベルトが超越化した事で、二人が身につけるものに関しては、距離の制限が無くなった。二人に対する悪意があればどんな距離でも、神速の弾丸が対象を撃ち抜く。
しかし、その存在には悪意のかけらもなかった。
あるのは、感謝と期待だけ。
「ああ、やっとそのお姿を見ることができました。マルス様、約束の時は近いようです」
その瞳はまるで聖女のような眼差しだった。
「システィ様、もうそろそろお時間です」
「そうですか」
お待ちしています。
そう言い残し、侍女についていった。
翌朝。
「ん、ん〜」
アルベルトは、久しぶりに快眠をしたからか気持ちのいい朝を迎えた。
「んあ・・・・・」
アリスも起きたようだ。
「おはようアリス」
「ん〜、おはよ〜」
二人で朝食を食べた後、ギルドへ向かった。
「おはようございます。今日はどうされました?」
「何か依頼を受けようと」
「依頼はあちらのボードにあります。討伐関係の依頼を受けた場合、素材は好きにして構いません」
「え、証拠とかはなくていいんですか?」
「はい、討伐記録は冒険者カードに記録されますので」
「なるほど」
それは楽でいい。自分で討伐しないと意味がないということか。
そこに先に依頼を見に行ってたアリスが戻ってきた。
「アルくん、良さそうなの見つけた」
「ん?」
その依頼は、オークの討伐依頼だった。
オークといえば、一度捕まってしまっては終わりだが、肉が美味しいのだ。
「アリス・・・・よくやった!」
「まぁね」
ドヤ顔で、胸を張るアリスは可愛すぎた。
「ではこれを」
「はい。承りました」
それからと受付嬢は続ける。
「お二人はパーティを組みますか?」
「パーティ?」
説明によるとパーティを組むと口座と討伐記録が共有化されるため、信頼するもの同士しか組むことを薦めていないとのこと。
「「もちろん」」
さらにパーティの活躍が認められると称号というパーティ名が与えられるそうだ。
これはやるしかない。
「いくかアリス!」
「うん!」
二人は、初依頼に向かった。
その日、オークの討伐記録が大幅に更新され、大騒ぎとなる。
しかし、二人の名前は、年齢が幼かったために公表されることはなく、代わりに『黒赤』(こくせき)というパーティ名が世に広まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます