第6話 超越化と憤怒
「なにしてんだこらぁ!」
アルベルトは、天使化を使い、さらには炎神と魔力掌握で足に炎を纏いながら飛び蹴りをした。
憤怒は、アルベルトやアリスと戦っていた場所まで吹っ飛んだ。
「大丈夫か!?アリス!」
「・・・・・・うん」
やっぱりきてくれた。ピンチの時はいつも駆けつけてくれる。そんな彼のことが・・・・・
「アリス、あとは任せてくれ」
「うん。あとで色々教えてね」
色々とは、この姿のことだろう。アリスには、いつでも鑑定することを許しているため、視ればわかると思うが、こう言うのは自分の口で言ったほうがいいだろう。
「わかった。ちょっと待ってろ」
そう言うとアルベルトは、憤怒との戦いを再開させた。
吹き飛ばされた憤怒は、怒りに身を焦がしていた。それは、憤怒ゆえの怒りか、一度殺されたことへの怒りか。
『大罪保有者』は、大罪の意味する感情に呑まれると、ひたすらに破壊衝動に駆られる。
世界眼で、視ることができる情報は、今までより細かくなっている。
しかし、大罪に呑まれると破壊衝動に駆られるか・・・・・
怠惰はどうなるのだろうか。
目にうつる労働場所を全て破壊してまで休む場所を作るのかな。
そんなことを考えているうちに、憤怒が目の前に迫っていた。
「アルくん!!」
アリスが声を上げるが、アルベルトは手をかざし・・・・・
「時止め」
その瞬間、憤怒の時間だけが止まった。
「・・・・・・え?」
アリスは、突然止まった憤怒を見て声を上げた。
「あっ、ちょっと近いな」
アルベルトは、気の抜けた声をあげ、憤怒から少し離れた。
そして・・・・・
「居合神剣:逆薙」
大気中にある魔素を集め、魔力でできた刀と鞘を作り出し、居合を放った。
刀は、憤怒の体を切り裂かず、魔力でできた刀はそのまま通り過ぎた。
「よしっ、終わった〜」
アリスは、まだ状況を理解できていなかった。憤怒が動きを止めたと思えば、アルベルトが魔力で刀を作り、居合を放った。しかし、憤怒の体は傷一つついていなかった。
「アルくん。あれ、どういうこと?」
「ん?あ、忘れてた」
アルベルトは、手をかざし魔法を解除した。その瞬間、憤怒の体が二つに分かれた。
「時間止めて切ったんだ。だから時間を動かした時にその結果が出たってこと」
「なんで急に・・・・そんな・・・・・」
アルベルトは、確かに今まだも強かったが、時間を止めるようなことはできなかった。
アルベルトは、憤怒が目覚めてから今までのことを全て話した。
アリスでなければ、話さなかっただろう。
「どうした?」
話を聞いたアリスは、不貞腐れていた。
「なんか・・・・・ずるい」
アリスは、一人だけ強くなったアルベルトが自分を起きていくのではと心配になった。
「アリスにも試練があるんだろ?」
「そうだけど・・・・」
その時、アルベルトの背後で憤怒の体が黒い霧に覆われた。
「嘘だろ?まだなんかあんの」
しかし、その心配は杞憂に終わった。
霧がおさまったその場所には、赤い魔石があった。
「炎竜の魔石か?」
こんなにデカいとは・・・・。
「これおれがもらっていい?」
「もちろん」
魔石をマジックバックに入れようとし、手を止めた。
今まで、時間を操れずバックの中身は時間が動いていたが、超越化した今なら・・・・・。
「アリス。マジックバック貸してくれ」
アリスから受け取り、自分のと二つ分を改良した。
=アイテムボックス=
容量無限大。中の時間を操作することができる。現在停止中。
やった。これでさらに便利になった。
アリスに返し、魔石を入れた。
「そろそろいくか、アリス」
「うん」
『ユニークスキル』
憤怒を入手しました。
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