第6話 旅立ち

アリスの笑顔を見てデレデレになった後、アルベルトとアリスは森に入っていった。


ポータルの強化と『不可視の魔弾』を設置するためだ。それによって、『不可視の弾丸』を自動で成長させるためだ。




これまでのポータルは、自身の魔力と使わなくなった木材などで作成していた。


しかし、魔物を倒し集めている魔石が大量にあるため、ある程度を残して、素材にする事にした。


今の二人なら、ステイタスのない魔物は、敵ではない。




経験値は今に至っては、少ないがないに越したことはないし、何より魔石が手に入る。


問題は、魔石に関しては、取りに来なくてはいけないということ。


そこで、ある実験を行う事にした。




「よし、始めるか」




アリスに魔物は任せ、作成に取り掛かる。


魔石を素材にしたポータルは、完成。次は、実験だ。




「何をするの?」




アリスは、なかなか終わらないことを不思議に思ったのか手元を覗き込んできた。


アルベルトの手元には、自動魔石回収の魔道具と皮の袋があった。




「魔道具と皮の袋の中を繋げられないかなと思って。取りに来るのはめんどくさいし」




イメージとしては、空間の共有だ。なかなかに難しい。


苦戦していると、頭にアナウンスが聞こえた。




『スキル』 


空間魔法Lv1


を入手しました。




きた!これならいける!




「大丈夫?」




いきなり顔をあげニヤニヤしていたからだろう。アリスが心配してきた。




「大丈夫!もうすぐで完成する」




自動魔石回収の魔道具の中と皮の袋の中をつなげるイメージで、MPをふんだんに使う。


MPを使い続け半分を切ろうとしいた時、つながるイメージが完了した。




魔物が倒され魔石が回収されるのを待って皮の袋を確認すると、中に大量の魔石が入っていた。


興味本位で皮の袋を鑑定してみると。




=マジックバック= 40/100


容量は、所有者のMPに依存する。空間が広がっているだけなので、生の物を入れると腐ることがある。所有者:アルベルト




名前の隣は、容量らしい。中での時間は進んでいるので、生の物を入れることは、やめたほうが良さそうだ。


よくある、時間も止まった『アイテムボックス』というのはまだできないらしい。




しかし、これで手荷物の問題が解消された。


MPが回復したらアリスの分も作ろう。




でもあれだな、ポータルは結構目立つな。


隠蔽でもかけてみるか?そう思い試しにかけた。




「わっ、消えたよ、アルくん!」




アリスが驚いた顔を向けてきた。




「隠蔽かけたら、なんか消えた」




うまく行ったな。今日は、色々と収穫がありすぎた。


とりあえず、他のポータルにも強化と空間魔法による中身の接続を行い、王都へ向かうための準備をするため村へ戻った。










1年後、9歳になったため、、王都に行くことになった。


学校は10歳かららしい。森を越えるため、1年の余裕を持って村を出ることにした。


数日分の乾燥食料と、数本のナイフ、訓練用の木剣、予備の服を何着か、それらを木剣を残してマジックバッグに入れた。




「母さん、父さん、行ってくる」




「「行ってらっしゃい」」




お互いに手を振り、アリスのところへ向かった。二人は、これから旅へ出るらしい。


次に会った時が、恐ろしい・・・・。




アリスはすでに、準備を終え村の外で待っていた。




「ラムダおじさんには挨拶した?」




「もちろん!」




「よし、じゃあ行こう!王都へ」




「おおー!」




二人の少年と少女は村を飛び出し、王都へ向かう。


これから先、二人は何を成し遂げ、世界に何をもたらすのか、まだ誰もわからない。
















アルベルトとアリスが村を出た後。


ザックハードとエミリア、そしてラムダは、3人で集まっていた。




「お前さんたちも旅に出るって?」




ラムダが問う。




「ああ、義・息・子・も立派になったしな」




「英雄の忘れ形見か・・・・」




3人は、昔を懐かしむように語り合った。






〜少年期編 完〜


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