第5話 旅たち前の準備と地獄

昨晩は、納得の行く魔道具を作り終えた時には、もうすでに日を跨いでおり、若干寝不足気味で朝食を食べていた。



「アル、大丈夫?」



エミリアが心配そうに聞いてくる。



「大丈夫だよ。魔道具を作ってたら眠れなくなっちゃって」



魔道具のことは、以前作成をしていたら、魔力の動きがアルベルトの部屋からしたと、突然入ってきた時にバレた。


黙っていたことに、言葉の折檻を受けたが、今度二人にプレゼントすると言ったら、許してもらえた。



あの時は、死ぬかと思った。・・・・多分魔王とかがいても平気な気がする。あれ以上に怖い生物はいない・・・。



「どんなものを作ったの?」



「うん。この前、魔力弾が進化して・・・・「「進化!?」」ふか」



二人は食事を忘れ詰め寄ってきた。



「それで!?なんに進化したんだ!?」



ザックハードがものすごい剣幕で聞いてきた。



「えーと、『不可視の弾丸』ってやつなんだけど・・・・・」



すると二人は考え込む素振りをしながら



「そうか。やっぱり人によって違うのか・・・」



人によって違う?魔力弾は他のスキルにも進化するのか?



「人によって違うってなんのこと?」



「ああ、以前知り合いに魔力弾を進化させた奴がいるんだが、なんだっけな・・・・・」



「確か、『瞬速の魔弾』とかだったような・・・」



エミリアが思い出すように答える。


『瞬速の魔弾』か、普通の魔弾でも前世で見た電車ぐらいの速さがあったが、さらに早くなるとどれくらいなのだろうか。


それにしても、人によって違うとなると、二人の進化が怖すぎる。今でも敵いそうにないのに、これ以上強くなってしまったら、ただの理不尽の権化だ。



いまだにブツブツ言っている二人をみかね、あるものを机に出した。


昨晩ほぼ徹夜で作った魔道具だ。



「「これは?」」



「ネックレスだよ。これに『不可視の魔弾』を設置してあるから、寝てる時とか万が一の時に悪意のある対象に発動する仕組みになってる」



はい、旅に出る前のプレゼント。そう言って二人に渡すと大事そうに抱えて



「「肌身離さず持ってるよ」」



と言った。




むず痒い雰囲気になったので、あのことを伝える事にした。



「そういえば、アリスと二人で学校に行く事にした」



「そうか行っておいで」


とザックハードが。



「アリスちゃんを泣かせたらただじゃ済まないから」


とエミリアが。



「ひゃいっ」



こえ〜。おれの心配よりアリス優先かよ。まあ、いいけど。



「ところで王都まではどうやって行くんだ?」



「旅をしながら行こうかと、途中でいろんなことをしてみたいし」



「そうか。なら、最後に俺が二人を鍛えてやろうか」



「え゛。い、いや〜遠慮する・・・かな・・・」



ザックハードの鍛えるは、鍛えるの範囲に収まらない。あれは地獄だ。アリスは、持ち前のセンスでなんとかなるが、おれに至っては、気づいたら家にいた。



「遠慮すんなって!餞別だ、餞別」



餞別ってもらって嬉しい奴じゃないのか?言葉の意味をわかっているのだろうか。


涙目になりつつあるアルベルトを抱えて、ザックハードはアリスの家まで行った。


鍛えてやるとアリスに言った時の、彼女の顔はきらきら輝いていた。


まさか・・・・その年で、戦闘・・・きょう・・・。






ザックハードとの模擬戦が始まり、アリスとの戦いを見ていたアルベルトは驚愕していた。



「どうなってんの・・・?」


アリスが今のザックハードとほぼ互角に戦っていたのだ。


慌ててアリスのステイタスを視た。



『名前』 アリス

『種族』 人間族  『性別』 女  『年齢』 八歳

『レベル』 60 (Lv.up)

『HP』  7000/7000

『MP』  8500/8500

『能力』  S

『称号』  

勇者 (New) 剣姫 (New)


『スキル』 

剣舞Lv2 (New) 気配遮断Lv10 (Lv.up) 縮地Lv3 (New)

鑑定Lv4 (Lv.up) 隠蔽Lv4 (Lv.up)


『ユニークスキル』

聖剣(限定使用可) 剣気 限界突破


『加護』

最高神の加護(隠蔽中)



おうふ、やばい事になってやがる。


とりあえず、こうなったのは仕方ないとして、新しいのが増えてる。




『勇者』勇者としての力を使える者が取得できる。闇に堕ちたものに対し特攻性を持つ。



『剣姫』剣舞を取得したものに与えられる。剣術から派生したスキルの成長速度アップ。



『縮地』一瞬で相手の懐に飛び込むことができる。移動距離はLvによる。




これに加えて、聖剣も限定的ではあるが使えるようになってる。




それにしてもここまで強いアリスと互角に戦うザックハードは何者なのだろうか。




そうしているうちに模擬戦が終わった。ザックハードの勝ちだ。




「お疲れ、アリスちゃん」



「は、はい・・・・。おつかれ・・・さま・・・です」


我が父ザックハード強すぎる。


その後、おれの番になり拷問を受けた後、旅立つ前最後の訓練が終わった。



帰る前に、昨日作ったペンダントをアリスに渡すと、最高の笑顔で


「宝物にするねっ」


と言ってくれた。


ああ、かわいい・・・・。




















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