第3話 初の魔道具の効果と希望の光

アリスとともに、魔物を倒し、魔素溜まりから少し離れたところに、ある魔道具を置き、アリスとともに魔力を流した。


魔力自体は、誰もが持っており、生活に必要な水道や電気は、魔道具に魔力を流しこみ貯めた魔力を消費して使用する。そのため、ある程度の年齢になると誰もが流しこむことはできる。




「これ何?」




「これはね、自動攻撃ポータル・魔物用だよ」




「じどう?」




「そう。自動」




ちょっと試してみようか。と魔力を500とアリスの魔力を少しを流しこみ、魔力弾を設・置・する。




「少し離れたところに行こうか」




ポータルから離れ、二人は木の影に隠れた。


しばらくすると、魔素溜まりから魔物が生まれた。


すると次の瞬間、ボンッと音が鳴り、生まれたばかりの魔物に当たった。




「よしっ、成功だ」




「え、え?何今の」




アリスが困惑するのも仕方がない。魔物が現れたと思ったら、設置したポータルから魔力弾が出て倒してしまった。


そして魔物は、魔石を落とし魔素となって消えていった。そして、アルベルトとアリスに経験値が入っていく。




しかし、初めてでここまでうまくいくとは思ってもいなかった。


次は、どこまで離れても作用するかだ。今日は、家に帰って、レベルが上がるのが確認されれば、何もせず二人はレベルが上がるということだ。


これぞ、不労の第一歩だ!!








効果を確認し魔石を回収後、二人はそれぞれ家に戻った。魔石は二人で分け、それぞれ家に持って帰った。


両親には、たまたま拾ったと説明したが、おそらく信じていないだろう。




夜になると魔物が活発になり、まだ子供の二人には危険だ。


だが、あの森の浅いところにはアルベルトの置いたポータルがある。


あれに近づく魔物、魔素溜まりで生まれる魔物、そいつらを自動で攻撃し経験値を稼いでくれる魔道具がある。


比較的弱い魔物は村からは出てこれないはず。








アルベルトが寝静まった後、森では滅多に見ないオークが獲物を探して彷徨っていた。


オークは通常、Cランク程度の冒険者に任せるような魔物で、こんな森の浅いところにはいない。


そして、アルベルトのいる村は、辺境にあるため、基本冒険者はやってこない。




そのオークは、村に近づいて行く途中、魔素溜まりを見つけた。


魔素溜まりは、捕食する魔物にとって格好の狩場だった。魔物は、肉も食べるが、1番の好物は魔石だ。


魔物は、魔石を食うことで体内の魔素量を増やし、限界に達すると器を昇華させるため存在を一段階あげる。


つまり進化だ。




そのためオークは、魔素溜まりに近づいた。


しかし、それがオークの最後だった。


突然、魔力弾が放たれた。それは一撃で己を倒すことはなかったが、それに近づいた悪意ある魔物には、その生命が尽きるまで連射された。




オークは、反撃すら許されず、その命を終えた。








翌朝、アルベルトは自分の体の変化に気がついた。




「体がかるい。これは」




まさか!?と思い鑑定をしてみた。








『名前』 アルベルト


『種族』 人間族  『性別』 男  『年齢』 七歳


『レベル』 20(Lv.up)


『HP』  2500/2500


『MP』  6800/6800


『能力』  A


『称号』  転生者   幸せを求めるもの   大罪保有者 (New)




『スキル』 


鑑定Lv4 剣術Lv2 魔力弾Lv6(Lv.up) 体術Lv2 魔力操作Lv5




『ユニークスキル』


魔力・魔法設置   全言語理解   魔道具製作   怠惰 (New)




『加護』


幸福の神の加護




お、お〜、これはこれは。これは、転生者特典のおかげだな。MPの伸びがすごい。


レベル20でこれなら、エミリアと同じレベルになったときなんて想像もつかない。


あの二人に追いつけそうだ。


気分が上がり、朝食を食べるため部屋を出ると、エミリアと目があった。




「アルくん?」




「な、なに?」




エミリアの目は笑っておらず、声のトーンもいつもとは少し違った。


冷や汗が背中を伝う。




「昨日はなにしてたの?」




「あ、アリスと遊んでたよ?」




震える声で答えるアルベルトはまるで生まれたての子鹿だった。




「そう。でもなんで、レベルが上がってるの?」




・・・・・・・・・。バレてら。








恐怖の時間が終わり、ザックハードとエミリア、そしてアルベルトの3人は無言で朝食を食べていた。




あ、味がしない・・・・・。




その沈黙を破ったのは、ザックハードだった。




「で、なんでレベルが上がったんだ?まだ狩りには連れて行ってないよな」




食卓に出る動物性のものは、基本的にザックハードが狩ってくるものを捌いて料理にしている。




「その〜、僕のスキルで試したいことがあって、その実験のために森に・・・・」




そこまで言った途端、エミリアが手を止めた。




「スキル?・・・・まさか鑑定を持ってるの?」




え、そんなに驚くことか?


確かに両親は持っていないが、珍しいのだろうか。




「う、うん・・・・」




そう答えると。エミリアとザックハードは目を見開き、焦ったように




「わたし(おれ)のステイタスを教えて(くれ)!」




と言ってきた。なので、読み取れるものを紙に書きふたりに手渡した。




「読み取れないところもあるけど、そんなふうに見えるよ」




すると、二人はほっとしたのか息を長く吐いた。




するとエミリアが




「いい?アルくん。隠蔽のスキルを教えてあげるから、鑑定を隠しなさい」




「え?」




そんなにまずいものなのか?




「本来ステイタスはね、教会で見るものなの。だから、鑑定を持っている人は少ないし、持ってるのがバレたら拘束されて教会で働き続けなければいけなくなるの」




なん・・・・だと。働・き・続・け・な・け・れ・ば・い・け・な・く・な・る・だと!?


それはいけない。不労の精神からかけ離れている。




「わかった」




いつになく真剣な表情で答えるアルベルトを見て、エミリアは




「そんな身構えなくても大丈夫よ。隠蔽は簡単だから」




エミリアの言った通り『スキル』隠蔽は簡単に取得できた。


そして、鑑定を隠蔽した後、アリスの元へ向かった。








「お〜い、アリス〜」




アリスの家に行くと、剣を振る音が聞こえた。




「あ、アルくん!」




「なにしてるの?」




「剣を振ってる。なんかいつもより体に力が湧いてたから」




レベルアップの恩恵がアリスにも適応されたのだろう。


剣を振っているのは、昨日『スキル』剣術のことを教えたからだという。


了承を得て、アリスのステイタスを視た。






『名前』 アリス


『種族』 人間族  『性別』 女  『年齢』 七歳


『レベル』 15


『HP』  3000/3000


『MP』  1500/1500


『能力』  A


『称号』  勇者の卵 




『スキル』 


剣術Lv3 気配遮断Lv2




『ユニークスキル』


聖剣(使用不可) 剣気 限界突破




『加護』


最高神の加護(隠蔽中)






相変わらず強かった。レベルはアルベルトよりも低いが、さすがは勇者候補伸び代が違う。


これは両親を軽く超えそうだ。


しかし、両親の言っていた教会が想像するような組織なら、勇者候補も囲うはず。


それはよろしくない。アリスには自由が一番似合う。




そう思いアリスに隠蔽を取得するのを勧め、取得してもらい、同時に鑑定も取ってもらい隠蔽するように言った。


『勇者の卵』凄すぎる。




自分のステイタスを初めて視たアリスは、アルベルトの役に立てるのが嬉しいのかすごく喜んでいた。




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