第一話 ステイタスと両親

暴漢に刺され死んだはずだが、うっすらと意識が覚めるのを感じた。


窓から日差しが入り、外が明るいことがわかる。


重たい瞼を開けると、視界には木材の天井が入ってきた。




(実家か? でもこんな部屋だっけ?)




とりあえず体を起こそうとするが、体に力が入らない。




(なんだこれ、刺されたとは言え、ここまで弱ってたか?)




なんとか手を持ち上げ、自分の体を確認する。目にうっつたのは、




(なんだこれ!? 子供? いや赤ちゃんの手?)




これは自分の体なのか? 信じられない事態にとりあえず声を出してみた。




「あうあ〜!あうあう〜!」(誰か〜来てくれ〜!)




確信した。自分の体だ。現状に追いつけないでいると、一人の女性が入って来た。




「あうあ?」(誰だ)




ものすごい美人だ。まさか今世での母親か!?なんて拷問だ。こんな美人に甘やかされて何もできないなんて!




「あらあら。ごめんね〜遅くなっちゃって。あの人が離してくれなくて」




よし。有罪確定。まだ会ったことはないが有罪だ。




「ちょっと待っててね。今朝ごはんの準備するから」




そう言って来ている服を脱いでいく超絶美人。


そうかお乳をくれるのか。赤ん坊特権だ。とりあえずガン見した。




赤ん坊の体というものは、燃費が悪く、ご飯を食べるとすぐに眠気に襲われる。意識が覚醒し、初めての朝は、美人のお乳をもらって、眠りについた。




昼頃に目が覚め、夢ではないことを確認した。母親は、昼食の準備をしているのか、いい匂いが漂ってくる。




今日中には、父親も見られるだろう。


とりあえず定番の確認からだな。




(ステイタスオープン)




そういうと目の前に半透明な画面が現れた。




『名前』 アルベルト


『種族』 人間族  『性別』 男  『年齢』 一歳


『レベル』 1


『HP』  100/100


『MP』  200/200


『能力』  C


『称号』  転生者  幸せを求めるもの


『スキル』 




『ユニークスキル』


魔力・魔法設置   全言語理解   魔道具製作


『加護』


幸福の神の加護




(・・・・・これはすごいのか?)




他の人のステイタスをみたことがないので判断ができない。




おそらく、この『ユニークスキル』というものは、それなりにすごいのだろう。


推測が正しいかどうかは、他の人のを見てからになるが、まだ母親以外にあったことがない。


しかも、見る方法がわからない。




そんなことを考えていると、母親とおそらく父親であろう男が入ってきた。




(あれ? 有罪にしたはずじゃ)




不思議そうな目で父親を見ていると急に体が持ち上げられた。




「アル〜!ただいまぁ〜!」




「おああい」(おかえり)




やはりまだうまく声を出せない。




しかし、この男筋肉がすごい。大きすぎず、それでいて付くところにはしっかり付いている。


まさに男の憧れ。この体と美人の奥さんをもらっているところだけ見習おう。




っと。その前にステイタスはどうやって見るんだ?


とりあえず凝視してみるか。




じ〜。




「う〜」




くそっ、見えない。諦めかけたその時、




『スキル』


鑑定 Lv1 


を入手しました。




機械的な声が、頭に響いた。




「う?」(なに?)




「ん、どうした? 漏らしたか?」




そんな声が聞こえてきたがどうでもいい。




鑑定だ! あの定番の!


使ってみるか。




(鑑定!)




『名前』  ザックハード


『種族』 人間族  『性別』 男  『年齢』 28


『レベル』 82


『HP』  6870/6870


『MP』  1560/1560


『能力』 A


『称号』 剣聖 愛妻家  


『スキル』


剣術Lv10 体術Lv6 索敵Lv10 隠蔽Lv10


『ユニークスキル』


剣気 限界突破   ーー(隠蔽中)


『加護』


剣神の加護 武神の加護




なんだこのステイタス。参考にならね〜。母親は大丈夫だろう、こんなおっとりして、まさかね。




『名前』  エミリア


『種族』 人間族  『性別』 女  『年齢』 27


『レベル』 90


『HP』  8700/8700


『MP』  10000/10000


『能力』 S


『称号』 破壊神  


『スキル』


魔力弾Lv10 体術Lv10 気配遮断Lv10 隠蔽Lv10


『ユニークスキル』


全属性魔法 限界突破 ーーーー(隠蔽中)


『加護』


魔神の加護 武神の加護




・・・・・・・・・・。




なんで?




バケモンしか居ねぇ〜。これは、やばいな。こう言っちゃなんだが、転生するならもう少し普通のところが良かった。




だって、おかしすぎるだろ!?


なんだよ剣聖に破壊神て。もう魔王がいたとしてもこの二人いれば余裕じゃん!


転生者いらないじゃん!?




はぁ、ま、いっか。面倒ごとは避けられそうだし。とりあえず赤ちゃんから脱しよう。




こうしてアルことアルベルトは剣聖と破壊神の元、普通? に育てられていく。




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