【第八話】初恋のプリマヴェーラ





 午後の眠たくなる魔の授業時間を乗り越え、荷物をまとめ終わり、いざ約束の地へと行こうとした沙織に隣でメガネを拭く美智留から声がかかる。


「沙織、大丈夫?緊張してない?」


 いよいよ約束の時間が迫ってきていることで、心配そうな声音でそう尋ねてくる美智留。

 沙織は静かに頷くと美智留は「本当に?」と念を押した確認をしてくるので、「大丈夫です!」と親指を立てて応対してやる。

 実際、言葉通り、沙織はとても落ち着いていた。

 苦難という苦難を乗り越えたわけではないが、昼休みの逢瀬以来、無事に逃げ出してしまうほどの緊張とおさらばし、至極冷静で普段通りの態度を取れるようになっている。むしろ慌ただしくしているのは美智留の方だった。それだけ気にかけてくれているということになるが。


「心配しすぎです。ちゃんとお昼に孝裕君と話せて、この後一緒に帰る約束ができたのを知ってるじゃないですか」


「それはそうなんだけどさ、昨日まであれだけ不安がって、神経尖らせてた子が急にこんな成長?するなんて思わないじゃん」


「疑問に思わないでください、成長したんです!‥‥取り戻したって方が自然ですね。そんなことはともかく」


 肩に掛けようとしていた鞄を一度机の上に置き、美智留の方を改まった様子で体ごと向ける。


「美智留さん、ありがとうございます。美智留さんが相談を受けてくれて、応援してくれたからこそ今の私がここにいます」


「え、ちょ、なに急に!?」


「私、美智留さんと友達になれてよかったです!本当にありがとうございます」


「う、うん。‥‥楽しんできてね」


 今回のことを別に大したことではないと捉えていた美智留は、沙織の性格上感謝してくるのは予想はついていたが、ここまで改まった表情と姿勢で言われるとは思っておらず、思わず照れてしまう。いつも感謝を忘れない姿勢の沙織を見習わなければいけないと思いつつ、今は友人の新たな進展を願い応援することにする。


 荷物を持った沙織はニコッと笑うと扉に近づいていき、明るい茶髪をふわっと宙に舞わせながら振り返ると、


「美智留さん!」


「大好きですよ!また、月曜日に!」


「!?」


 まあまあ大きめの声で美智留に話しかけていたことで、残っていたクラスメート全員に聞かれてしまう。だが、そんなことお構いなしに言ってのけた沙織は幸せそうな表情のまま教室を後にする。

 教室に残っている人数が少ないとはいえ、十人ほどの視線が集められれば必然的に顔も赤くなってしまう。急いで鞄を持ち、逃げるように廊下に出ると、遠くの方で歩いている沙織の姿が目に留まる。行動の突拍子のなさに「全然大丈夫じゃないじゃん!」という意味を込めて、誰にも聞こえない小声でその背中へ向け、


「ばーか」


 と、苦し紛れのの照れ隠しで感情を締め括るのだった。




→→→→→♡←←←←←

←←←←←♡→→→→→




「ごめんなさい、お待たせしました」


「ううん、今来たところだよ」


 うさぎの世話を済ませ、急いで中庭に到着した沙織をベンチで座っていた孝裕は涼しい笑顔で迎える。

 なんとなくだが孝裕の「今来たところ」というのは嘘だろう。孝裕は沙織と同じように授業後に花壇の手入れをするという係仕事があるはず。沙織が花壇を確認した時には既に終わっていたことから、「今」来たというのは嘘で、単なる気遣いだろう。

 しかしそれを責めるなんてことはまずするはずもなく、素直に気遣いに感謝していざ帰路へ。


 地面に置いていた荷物を持つと、「それじゃあ、帰ろっか」と、若干辿々しく行ってきたのは緊張と孝裕なりのリードする気持ちの表れだろう。

 そのことに不満なんて当然なく、沙織は「はい!」と満面の笑みで返す。


 沙織の反応を確認すると、ゆっくりと歩を進め始める孝裕。だが、隣を歩こうとしていた沙織の足はピタッと止まる。

 数歩進んだところで気配が遠くなっているのを感じた孝裕は、疑問とともに振り返り、


「どうかした?」


 と、沙織の急停止に孝裕も足を止める。

 見てみると沙織は少し恥ずかしそうに鞄を握り締めながら「あの、やっぱり」と呟くと、これまた孝裕の見たことのない愛らしい上目遣いで見つめて、


「もう少し、ここでお話していきませんか?」


 そんな内容すら初々しく思えてしまう提案を投げかけてくる。

 正直、孝裕からしたら、沙織と話せて一緒に入れるなら例え火の中水の中、やっぱり沙織が苦ではないところならどこでもいいと思っていたため、この案に対する答えはもちろん「いいよ!」と答える以外思いつかなかった。


 孝裕は進んだ道を逆走して改めてベンチに座ると、小さいベンチのせいで今にも沙織と触れてしまいそうなほど物理的に距離が近づいてしまう。

 一週間まともに話せていなかった間柄が突如として改善の傾向に風向いた時は二人とも自然な面持ちで接することはできたが、接近ということに関してはお互いまだ緊張してしまい体が硬くなる。


 花の香りが春風に乗せられ届くことでゆったりとした気分で心が落ち着く。

 それぞれが心の中で精神統一をし、無駄に慌てたり緊張したりする必要なんてないと、気持ちを整えると、


「孝裕くん」

「沙織ちゃん」


 綺麗にタイミングが合致した。

 お互いの間の知らなさから対話不足だと感じる二人は堪えきれず吹き出してしまう。

 おかしなものだ、両想いなのに関わった期間は極僅か、会話も決して多くはしていない。それなのにもっと一緒にいたいと思い、尚更話したくなる。予想以上に二人の初恋は重症だったようだ。


 そんな重症なお二人さんの片割れ、沙織は視線で孝裕に会話の先行を促すと、こういうところはなぜか息がピッタリ揃い、孝裕は話題を口に出す。


「さ、沙織さんは、お日柄もよく、いかがお過ごしでしょうか」


「‥‥‥‥孝裕君、緊張してます?」


「‥‥‥ごめん。緊張してる」


「ふふっ、可愛いですね」


 あべこべにも程がある言葉並べに加え、沙織を『さん』付けで呼んだ孝裕を一瞬で緊張していると見抜いた沙織は意地悪く孝裕の顔を覗いてくる。

 沙織の嗜虐的な瞳に耐えきれず目を逸らした孝裕の姿に尚更沙織のテンションは上がる。


 沙織はこれでいつも通りなのだ。美智瑠に見せるような隙あらば褒めて行くスタンスは今この場でも健在。それほど環境に順応することが早くなったのだ。むしろこの場で普段と違うのは孝裕の方。冷静になった、気分の急上昇を抑えて会話が出来る!と思ったのは一瞬。自分では気づかぬほどあっという間にテンションは振り切れ、自然体を失っていた。


「ごめんね、なんか落ち着かなくてさ」


「いいんです、私だって昨日まで孝裕君以上に取り乱していましたし、気にすることなんかじゃないですよ」


「ありがとう。ふぅ、なんだか沙織ちゃんと話してたら落ち着いてきた気がするよ」


「ほんとですか?それならよかったです。もっとリラックスしてもいいんですよ?」


 小首を傾げながらクスッと笑う沙織を見ていると孝裕も自然と心が安らぎ、荒波が平穏になっていくのを感じた。

 声、表情、仕草、言葉選びから一切の偽り、何かに形作られたものではないと確信させるような自然さが今の伝わってくる。こんなにも早く素で接してくれるなんて思ってもみなかった。これこそ本来の沙織の姿なのだろう、本当に別人のようだ。と関心するとともに、それに救われているなとも思い、沙織の持つ包容力に感謝する。


「ほんと、凄いね!昨日までなかなか話せなかったのに、何かあったの?」


「元々変わろうとすることには慣れてたのはありますが、何より今回は友達の力が大きかったですね」


「そっか、じゃあその子に僕も感謝しないといけないね!」


「どうして孝裕君も感謝を?」


「だってさ、その子がいなかったら、こうして二人で話せるのはもう少し後だったかもしれないって考えると、感謝せずにはいられないっていうか」


「それは大袈裟ですよ!」


 天衣拝むポーズをとり、今この場にいない美智留へ向けて感謝の祈りを捧げる孝裕に笑いながら沙織自信も改めて美智留に感謝を送る。


「話の流れで申し訳ないんですけど、孝裕君がせっかく話しかけてくれたのに何度も逃げてしまってすみませんでした」


 話すことに夢中になり、肝心な今までの非礼を詫びた沙織に孝裕は両手を横に振り「いいよいいよ!そんなこと気にしないで!」というと、じっと沙織の顔を見つめ、「その代わり」と続けると、


「沙織ちゃんのことたくさん教えてほしいな。‥‥なんてね」


「なんて、でいいんですか?」


「?」


 孝裕はさっきの仕返しとばかりに、らしくない発言で沙織を驚かせようとするが、沙織の反応は孝裕の想像していたものとは異なって返される。


 沙織は今の発言が孝裕が普段しない発言だということはわかっていた。語調に勢いが足りなかったり、最後の最後で強引な文言に慣れていない証の誤魔化しが入ってしまえばそれはもう確実だろう。

 それが誤魔化しとわかっていながらも、印象的にそういったことを言ってくるとは思わない、予想外からの仕掛けに流石に驚きはした。しかし沙織はそれを顔に出す前に自分の感情を優先させる。当然ふざけた返しもするつもりはない。孝裕が頑張って絞り出した強引さを多少は無碍にしてでも、今回は誤魔化さないでほしかった。


 沙織の反応に硬直して言葉の出ない孝裕にそっと息がかかるくらいの距離まで近づき、その人だけに聞こえるように耳元で呟くように言葉を送る。


「いいですよ、孝裕君なら。知りたいこと、全部教えてあげます」


「!?」


「遠慮する必要なんてありません。孝裕君が知りたいと思ってくれるなら、なんでも答えますよ。好きな質問をどうぞ」


 わざわざ耳元で、風が吹けば消えてしまいそうな小声を逃すまいと左手を口元にそっと添え、しっかりと呟くからにはそれがふざけていないことだということは孝裕には理解できた。

 伝え終わると元の姿勢に戻り、沙織はとても穏やかな表情で孝裕を見てくる。孝裕はわかりやすく赤面すると沙織と目を合わせられなくなってしまい視線を明後日の方向へ移す。


 その間もじっと孝裕を見つめてくる熱く心地の良い視線は外れることはなかった。見つめられていると尚更思考がこんがらがって仕方がない。

 最初は冗談めかして言ってしまったことだったが、折角沙織が聞きたいことがあればなんでも答えてくれるというのだ。聞かないわけにもいかない、それに沙織は何を質問してくれるかを期待して待っているようにも思える。


 孝裕はぐちゃぐちゃの思考を一生懸命に回し、自分が沙織に聞きたいことを必死に考える。そしてーー、


「じゃあ」


「はい」


「沙織ちゃんは‥」


「はい」


「いつか、恋人としたいことってある?」


「恋人としたいことですか‥」


 しばらく熟考した孝裕は、ありきたりな恋の理由や好きなところは聞かず、『いつか』とわざとらしく前置きをして、今の関係の先でしたいことを率直に聞いてくる。

 流石にこれはあからさま過ぎるだろう。現在の二人の関係は『恋人前提の友達』であり、このタイミングでのその質問は、つまりそういうことを指しているに他ならない。

 沙織は、恋愛関係の質問が来ることはもちろん想像していたが、いきなり二人の将来、前提条件が達せられ、恋人へと変わった時にしたいことを聞いてくるとは思わず、用意していたまとまった答えを放棄し、じっくりと考え、ぽつぽつと浮かんでくるそのまま話す。


「一緒に公園へ行って、お弁当とか食べたいです。それに映画も観たいですし、遊園地や動物園、いろんなところに二人で行きたいですね」


「おお、沙織ちゃんって意外と欲張りさん?」


「そんなことないと思いますよ。そうですね、強いて欲張りなことといえば、ーーーーーその相手は孝裕君じゃないと嫌だ、ってことくらいですかね」


「ぼ、僕!?」


「なにを驚かれているんですか?私たち、付き合う前提なんですよね、それなら私が孝裕君を選ぶことは必然じゃないですか」


 椅子から離れ、孝裕の前にスカートを畳んで座り込む。そして「それとも」と前置きをすると、不安そうな面持ちになる。


「私と孝裕君が付き合うなんて、やっぱり無理なことなんでしょうか」


「そんなこと、絶対ないよ!だって僕は沙織ちゃんのこと、んん!?」


「ふふっ、ありがとうございます。でも、今はそれ以上はだめです」


 沙織の悩ましいような表情にいてもたってもいられなくなった孝裕は、勢いのままに自分の気持ちを今一度伝えようとするが、その直前で口元に沙織の指が触れる。当たった口を動かすことを反射的にやめた孝裕はじっと沙織を見る。するとそこには満足そうな笑みを意地悪そうに湛えた沙織がいた。


「ごめんなさい、少し、意地悪が過ぎましたね。反省です」


「い、意地悪‥?」


「はい、意地悪です。あ、でも行きたいところの候補は真面目に答えた内容ですよ。意地悪はその後、付き合えないのか不安になってたところだけです」


「そっか、じゃあ僕の反応で不安にさせちゃったわけじゃないんだね」


「はい!なので安心してください。ーーそもそも私、そんなこと心配していないので」


 立ち上がり数歩その場を離れると後ろで手を繋いでクルッと回ってみせる。


「信じてますから、孝裕君のこと。だからさっきの言葉の続きはその時が来たら‥お願いしますね」



 沙織はわかっていた。あの日に伝えてくれた告白が真実で本気なことも。

 沙織はわかっていた。孝裕は沙織が不安を呟いたらちゃんと伝えてくれることも。

 沙織はわかっていた。孝裕の優しさも、恋に対する真剣さも、沙織を大切に想っていることも。



 その全てが入学式の日からの一週間で培うことのできた、彼への信頼感。

 沙織とて話せなかったとはいえ、意識はしていた。何度も話すタイミングを伺ったり、最初の方はクラスの前まで行ったりもした。ただ、緊張で話す勇気を出すことができなかっただけ、孝裕は沙織を見つけると気軽に声をかけてくれたり、友人としての距離を詰めようとしてくれていた。まずそれだけであの提案はその場凌ぎなものでないとわかる。それ以前に沙織の孝裕への信頼度が上限突破していたので元々疑う余地もなかったのだが。


 でも、どれだけ信頼しわかりきっていても、どう反応するのか、どう答えてくれるのかはやはり本人に確かめたくなるもの。

 孝裕に恋慕を寄せて以来、そしてそれ以前にも恋をしていない純粋な初恋の囚われ人の沙織は、この奇跡のような巡り合わせの恋に右往左往するしかないのだ。

 恋にただしい手段があるのかなんて初恋をずっと抱え続けていた沙織にはわからない。でも、相手のことを信じることができたのなら、自分も信じてもらえるように、知ってもらえるように行動すればいいだけのこと。


 だから沙織は『意地悪』なんて体を用いて相手の気持ちを確かめながら自分の気持ちを伝え信用してもらおうとする。


「孝裕君、ーーですよ」


 と、肝心なところは声に出さず、でも届くだろうと信じて満面の笑みを浮かべる。



 孝裕は安心する。笑顔を見れたことももちろんその原因に違いないが、もっと根本的なところーー信用してもらえている事実に安堵する。

 信用してくれている。それだけで心が満たされてしまうほど嬉しかった。

 孝裕自身も沙織と同様に想い人への信頼度はとっくに高まっていた。それは好きな人補正も当然あるだろうが、なにより沙織の行動による貢献が大きかったと言える。

 友人関係になった次の日に話しかけるも逃げられてしまった時は嫌われてしまったかと考えなくもなかったが、その次の日、またその次の日と沙織が遠くから自分の様子を伺っているのに気づいたから、嫌われたのではなく単に緊張しているだけとわかった。



 孝裕は知っていた。沙織の健気な恋心も。

 孝裕は知っていた。沙織は素直にお互いのために想いを伝えてくれることも。

 孝裕は知っていた。沙織の優しさも、恋への純粋さも、孝裕を特別に想っていることも。

 


 思い返してみれば、沙織が逃げ出すのはこの期間が初めてではない。再会したその日にも一度逃げている。だがその後は会話も成り立つほどになり、挙句告白にまで至る展開になったではないか。

 ならば必然と沙織のタイミングを待つことができてしまう。なぜなら沙織は乗り越えるから。再会の日のように乗り越えた先で再び共に在れると信じれるから、不安も掻き消え、孝裕は沙織のペースに並ぼうとした。そしてその時は訪れ、まずはその場で話すことを考えていた孝裕は一緒に帰ろうと提案されたことに驚愕し歓喜した。一緒に帰れば当然会話する時間も普段より長い、その分話すことのハードルは上がるが進展はそのほうがするだろう。

 沙織の先を見据えた行動の決め方に、孝裕への恋心の真剣さがはっきりと読み取れて、ますます沙織のことを信じ、沙織のことを知りたいと思う心が大きくなった。


 そして、今はまだ発達の最中にある沙織への知識だが、それでも最後の口パクの部分にどんな言葉を、想いを乗せたのかがわかった。

 その想いを噛み締め、心にそっと仕舞うと天使のような笑顔で笑いかけてくれる想い人に向け孝裕も微笑みを向け、


「信じてるよ。これからも、よろしくね!沙織ちゃん」


「はい!」


 と、強く言い切った。


 もう少しここで話そうと提案した時はこんな展開になると想像していなかった沙織だが、結果的に孝裕の気持ちをより深く知ることができて満足していた。そしてそれは孝裕も同じなんだろうなとなんとなく孝裕の言葉と表情から感じることができたところで、『そろそろ帰りましょうか」と言い荷物を持つ。

 それには孝裕も同意のようで肩に鞄をかけると何かを思い出したようで、


「忘れてた、沙織ちゃん、先に自転車取りに行ってくるね!すぐ行くから校門の前で待ってて!」


「いえ、私も行きます」


「?、自転車取りに行くだけだし自転車置き場少し遠いから待ってっても‥」


「ーー孝裕君とちょっとでも長く一緒に居たいんです。‥だめ‥ですか?」


「!?う、う、うん!わかった!一緒に行こ!」


 自転車置き場に向かおうとした孝裕の制服の袖をクイっと引っ張り、上目遣いに一緒に居たいと訴えてくる。もちろん孝裕が拒むことなく了承してやるとにっこりと明るく笑い隣に並んでくる。

 孝裕は沙織のあまりにも可愛い仕草と台詞に心を穿たれ顔を真っ赤に染め上げていた。その様子を隣でニコニコと眺めてくる沙織はとても幸せそうであった。


 そうして自転車を回収し、上機嫌な沙織と中々照れてる顔が回復しない孝裕は昨日まででは考えられないほど仲睦まじい、すでにカップルのような雰囲気を出しながら帰路に着く。

 そこでは学校で起きた出来事、最近流行りのものの話題など、普通のたわいもない会話をしてゆっくり、じっくりお互いの仲を深めていくのであった。

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