―34― 強襲
「――
僕は詠唱する。
それと、同時に左手を中心に魔法陣が浮かび上がり、火の塊を発射させた。
そして、
けれど、威力が低いのか、
ならば――
「――
5つの火の塊を当てて、やっと
けれど、これじゃあ効率が悪いな。
多数の
「ふんッ!」
フォカロルのほうを見てみると、無詠唱で突風を起こして、
流石、悪魔といったところか。
僕とは威力が大違いだ。
この調子なら、なんとかなりそうだな。
「いたいっ!!」
後方から悲鳴。
見ると、後ろに回り込んだ
「――
咄嗟にかまえて詠唱する。
水の刃は
「死んでくださいッッ!!」
気がついたフォカロルが声高にそう叫んで、風でつくった槍を
すると、弾けるように
それを見た他の
どうやら、
「あ、あのっ! む、娘を助けてくださいっ!」
その人は、さきほど
少女はぐったりとした様子で気を失っている。
「ま、まずいな。このままだと、最悪死ぬかもしれない」
このまま放っておれば、仮に死は避けられても、腕は使い物にならなくなり切断しないといけなくなる可能性が高い。
すぐ対策しないと、まずいが。
「あなた、魔術師でしょッ! 早く、この子を治してくださいッ!」
いつもは表情が硬いフォカロルが必死の形相で訴えてきた。
「僕にはできない」
「な、なんでですかッ!」
「僕には火と水の魔術しか使えない。治癒魔術は最低、火、水、風、土、すべての魔術を覚えて使えるようになる」
治癒魔術は火、水、風、土すべての魔術を覚えて初めてスタート地点に立てる。
さらには錬金術に占星術、ミクロコスモスとマクロコスモスの対応関係などなど、たくさんのことを覚えてなくてはならない。
それだけ人体の構造は複雑だ。
もしくは天使の力を借りる方法もあるが、そんなの僕にできるわけがない。
「う、そ……」
フォカロルが焦燥しきった顔つきで僕を見る。
僕はなんて無力なんだろう。
もし、ここにいるのが妹のネネならなんとかなったかもしれない。
くそっ!
僕は自分の拳で膝を叩いた。
いや、待てよ。
1つ、僕にできることがある。
「おい、フォカロル。治癒が得意な悪魔を教えろ!」
そうだ。
僕には治癒魔術はできないけど、悪魔召喚ならできる。
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