第3話 イエロードラゴン
あ、僕は株式会社ドラゴン営業部のイエロードラゴンです。
僕たち営業部はドラゴンの活躍する場を求めてあちこち飛び回っています。まぁ、僕は飛べないんですけど…。
ところで皆さんはドラゴンイメージする時に何色をイメージしますか?
赤黒緑青紫この辺りが人気ですよね。イエローなんて、イエローなんて、どうせ何も出来ない認知もされない影の薄い存在なんですよぉぉぉ…。
戦隊モノであればそこそこ人気の色なんですけどね。
レッドさん、ブルーさんは凄いや。いっぱい契約取ってくる。それに比べ僕なんて。
そもそもドラゴンなのに炎吐けない時点で終わってるんですよ。生まれた時から負け組。よくて中ボス、基本中盤あたりの雑魚キャラ扱いですよ。それがイエロードラゴンなんです。
—「いやー、ドラゴン使う予定はないですねー。」
—「ドラゴンなんて今時もう古いですね。」
—「実際会ってみてもインパクトもないし今回は申し訳ないですが、なしですね。」
などなど他のドラゴンたちはと違い、なかなか契約に結びつかないんです。
「イエロー、今週も調子悪いな、契約取れそうな案件はあったか?」
「…部長…、すいません…。なかなか熱いところがなくて…。すいません…。」
僕はひたすらに謝るだけです。
成績が書かれているホワイトボードに目を向けると、僕は今月も最下位争い。
ああ、もういっそのこと、ドラゴンフライにでもなりたい。
ドラゴンではなくただのトンボのくせに、火を吐ける。僕はドラゴンなのに火を吐けない。空も飛べない。特徴がない。
今日も株式会社ドラゴンの社員はせっせと働いています。
いつもと変わらない職場の中でも、様々なドラマが生まれる。現実は小説ともゲームとも違いあり得ない出来事が起こる事がある。
僕はというと、
断られて、断られて、断られて。
それでも僕は電話をかけ続ける。
今日も断られていますが挫けません。負け組ドラゴン、腐ってもドラゴンです。
ドラゴンのプライドを持ち続けていればいいことがあるはずです。
—また機会があればお願いします。
この言葉、何度聞いたことですかね。
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