オマケ:第二章 プロローグの前半
ヒキガミからお暇を頂いてから一週間、俺はカビ臭い地下室で目覚めてから勇者の依頼について行きサポートをしながら魔物を狩って、獣人たちを養うために商業ギルドへとその魔物の素材を売って金を稼いだりして過ごしていた。勇者も異世界に慣れ始めたのか戦闘も様になってきた。
そして、俺は今日も勇者の依頼について行こうと思っていたが、アンダーに呼び出されたので執務室へと向かった。アンダーは俺が部屋に入ったことを確認すると仕事の手を止めてこちらに身体を向ける。
「……待ってたわ。じゃあ早速次の依頼の話を始めようじゃない」
「ちょっと待ってくれ、依頼はこの前達成したばかりだろ?」
アンダーはやれやれと頭を振って教師が教え子に教えるように説明を始める。
「このギルドはこの都市でトップのギルドなの。だから、入ってくる依頼の量も普通ではないのよ。だから、全員で力を合わせないと全ての依頼を片付けられないわ。それにクロゴくんには生活費を渡してるわよね? まだその分の働きもして貰ってないから、しっかりと頑張ってね!」
「マジか……」
俺はアンダーから依頼を渡されて内容を確認する。都市で最近頻発している失踪事件の犯人を特定して捕縛すると書かれており、前回と同様に詳細が後に書かれていた。
それに目を通した俺は驚きの表情を浮かべる。
「この容疑者としてミレイアが捕まったって!?」
どうやら犯人ではなかったそうだが、自分から犯人と自白したと詳細には記されていた。普通は犯人を庇ったとして何かしらお咎めがあるものだが、色々と事情があってミレイアは無罪で釈放されたそうだ。
「どうやらクロゴくんはその子は仲がいいみたいだから、ちょうどいいかと思ってね」
俺はアンダーに捕まった時にミレイアに言っていた言葉を思い出す。
「あの時に言ってた同じことを繰り返すってそういうことだったのか……」
「わたしにもあの子がどうして庇ったのかはわからなかったけど、庇うということは犯人を知っている可能性が高いのよね」
「それなのにミレイアは言わないんだ……」
アンダーの言葉でミレイアへの謎が深まっていく。
『これはいい展開だね。勇者の仲間が訳ありなんて実に面白いじゃないか!』
『俺としては気が重くなるんだが……』
難しい顔をする俺にアンダーは話を続ける。
「それと、この都市であの子の評判がとても悪いことは知っているかしら?」
「少しの間だが、パーティを組んでたから知ってるが……」
見習いギルドでのミレイアに向けられる視線や、商業ギルドで剣の折れた男に絡まれたことから、ミレイアが快く思われていないことはわかる。
「どうやら、あの子がその犯人だと言いふらしている者がいるみたいでね。一度捕まっているところを見た人間も多いから、今では本当にあの子がやったことみたいになっちゃってるの」
アンダーの話を聞くにミレイアを貶めようとしている奴がいるということか。
「あの子が自分で否定をしないのも原因の一つみたいだけどね」
話を聴き終わった俺はミレイアのためにもこの依頼をどうやって達成しようかと考えながら、獣人たちの元へと向かった。
ホワイトでブラックなグレーのお仕事 ~勇者にバレずにサポートしろって!? それだけじゃなくてヤラセまで!?~ 翠南瓜 @suikabocha
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