幕間:受付嬢のお仕事
「エルアあんたまた何も知らない奴にお金を貸したの? 懲りないわねぇ……」
「……だって可哀想なんですもの。人間扱いすらされない職場から逃げ出したはいいものの、生活をするためには危険な冒険者になるしかないんですから」
冒険者ギルドの裏で仕事を終えた受付嬢たちが、今日入会した冒険者について話していた。
エルアと呼ばれた受付嬢は書類を片付ける手を止めて、手を組み祈るような体制をとる。
「そんな人がいたら助けたくなるじゃないですか?」
「……あんたよくそんな聖母じみた言葉がすらすら出るわねぇ。あんたの本心を知らない人間が聞いたら感涙するんじゃない」
エルアは再び書類に手を伸ばして笑みを浮かべる。
「失礼ですね。わたしは親切心からやっているんです。やましい気持ちなどありません」
エルアの言葉に先輩と呼ばれた受付嬢は顔の端を歪める。
「……実はわたし見ちゃたのよ。あなたが冒険者から貰った贈り物を売っているところ」
エルアは横目で先輩を見ながら淡々と答える。
「人違いではないですか?」
「別にわたしはこれであなたを脅そうなんて思ってないわよ。人にはそれぞれ事情があるもの。でもよくあんなに贈り物が貰えるわね」
「それは皆さんが約束通りに倍にして返して下さってるだけですよ」
エルアは書類の仕事を終えて伸びをする。
「ふぅ……終わった。先輩、これで失礼しますね」
そう言い残しエルアは冒険者ギルド後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます