幕間:受付嬢のお仕事

 



「エルアあんたまた何も知らない奴にお金を貸したの? 懲りないわねぇ……」

「……だって可哀想なんですもの。人間扱いすらされない職場から逃げ出したはいいものの、生活をするためには危険な冒険者になるしかないんですから」


 冒険者ギルドの裏で仕事を終えた受付嬢たちが、今日入会した冒険者について話していた。

 エルアと呼ばれた受付嬢は書類を片付ける手を止めて、手を組み祈るような体制をとる。


「そんな人がいたら助けたくなるじゃないですか?」

「……あんたよくそんな聖母じみた言葉がすらすら出るわねぇ。あんたの本心を知らない人間が聞いたら感涙するんじゃない」


 エルアは再び書類に手を伸ばして笑みを浮かべる。


「失礼ですね。わたしは親切心からやっているんです。やましい気持ちなどありません」


 エルアの言葉に先輩と呼ばれた受付嬢は顔の端を歪める。


「……実はわたし見ちゃたのよ。あなたが冒険者から貰った贈り物を売っているところ」


 エルアは横目で先輩を見ながら淡々と答える。


「人違いではないですか?」


「別にわたしはこれであなたを脅そうなんて思ってないわよ。人にはそれぞれ事情があるもの。でもよくあんなに贈り物が貰えるわね」

「それは皆さんが約束通りに倍にして返して下さってるだけですよ」


 エルアは書類の仕事を終えて伸びをする。


「ふぅ……終わった。先輩、これで失礼しますね」


 そう言い残しエルアは冒険者ギルド後にした。



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